
【対談】井村裕夫,川上浩司
特別対談「基礎と臨床の相互理解が導く日本のメディカルサイエンス」(実験医学2008年4月号より)
編集部 それでは,最後に,「実験医学」の読者に向けて,研究者の方にどのようなことを期待しているかをお話しいただけますでしょうか?
川上 生命科学の研究者もいろいろなことを考えたり,見聞きして,世界にも目を向けていく姿勢というのが非常に大事だと思っています.
生命現象を明らかにするということは社会や人類へ還元する部分が非常に大きいので,自分の研究はどういう位置付けなのか,どこと関係しているのかということをいつも意識して欲しいと考えています.
井村 私もほとんど同じですね.基礎研究というのは面白いし,のめり込んでやってもいいんですが,どこかで少し違った見方もして欲しいと思います.いろいろなサイエンスが今どういう方に進んでいるのかということを常に知っておいて欲しいですね.
日本では自分のテリトリー以上はやらないという方が多いのですが,アメリカでは自分の専門外の部分でもカンファレンスで答えを求められるんです.「いろいろなカンファレンスに必ず出ろ,そういうところで専門外の勉強をしろ」と言われましたね.カンファレンスに出るとか,「実験医学」を読むとかして自分の専門外の部分も眺めてみると,自分の研究で応用の可能性があるものが出てきたときにわかるんです.
ルイ・パスツールは基礎研究者だったけれども,常に応用を考えていました.多くの方にパスツール型の研究者になって欲しいなと思っています.
編集部 本日は大変貴重なお話をお聞かせいただきどうもありがとうございました.