![第1回 生物界全体をグループに分ける 1.生物界全体を分ける [分子生物学講義Web中継~生物の多様性と進化の驚異]](images/banner03.gif)
本WEB連載を元にした単行本が8月下旬発行予定です!詳細はコチラです.
第1回 生物界全体をグループに分ける
さて,生物界には実にさまざまな生物がいることは皆さんご存知のことと思います.生物界全体を大まかに分ける考え方はいくつかありますが,それぞれにもっともらしさがあります.ここではそのなかから2つをご紹介します.
現在では,高校の生物でもロバート・ホイッタカーの5界分類を習うと思います(図1A).1969年に提唱されたものです.これが系統分類の1つの到達点であったと思います.これまでとの大きな違いは,従来は植物に入っていたカビやキノコの仲間の菌類を独立させて,真核生物を4界に分けたことです.多細胞生物(後生生物)のグループを,栄養摂取様式の違いから,自分で有機物を作れる植物,有機物の餌を捕まえる動物,有機物を吸収する菌類に分ける.従属栄養であるという観点からは,菌類は植物より動物に近いという認識です.
トーマス・キャバリエ=スミスは生物の分類に大きな貢献をし,2004年に第20回国際生物学賞を受賞しました.この賞は,昭和天皇のご在位60年を記念して1985年(昭和60年)に設立されたもので,国際的に優れた生物学の業績をあげた研究者のなかから毎年1人に贈られるものです.キャバリエ=スミスは,多細胞真核生物にクロミスタ界を増やして,全体で6つの界にしました(図1B).
私が注目してもらいたいと思っているのは,この発表が1998年のことであるという一点です.ほんの10年ちょっと前のことです.さらに現在は,真核生物については別の分類法が通用しつつあります.いろいろな説が出るということは,なかなか決定版が出ない状態だったということです.

井出利憲/著
定価 4,800円+税, 2010年8月発行