実験医学連載のページ

研究者のためのプロフェッショナル根性論

■島岡 要(ハーバード大学・CBRバイオメディカル研究所)

本コーナーでは,2007年まで本誌「News & Hot Paper Digest」コーナーにて多彩な話題をご執筆いただいておりました島岡 要先生に,研究者が仕事を行ううえで大切な心得をご紹介いただきます


プロフェッショナルへの成長過程をEmbraceする<最終回>
Presentation to Persuade
【概要】

研究者のキャリアはテニュア・プロフェサーを上がり(成功)とする双六ゲームではない.むしろ,それはプロフェッショナルとしての自己鍛錬の道であり,終わりはない.したがってプロフェッショナルとしての成長過程すべてが意味をもち,このプロセスを続けることが研究者としての成功である.

説得力のあるプレゼンテーション
Presentation to Persuade
【概要】

Drucker風に言えば“研究者は1時間のパワーポイント・プレゼンテーションで思い出される.”パワーポイントを使った1時間のプレゼンテーションはジョブトークを含め研究者のアウトプットの最も基本的かつ最も重要なフォーマットである.そして,この1時間のパワーポイント・プレゼンテーションを機会があるごとにポリッシュすることは,研究者が自分のキャリアをポリッシュすることでもある.「研究者の人生はパワーポイント・プレゼンテーションである」というコンセプトのもと,いかに自分の研究とキャリアをプレゼンテーションするかを提唱する.

【概要】

英語はサイエンスをするうえでの共通語である.英語に対する苦手意識が研究者の海外進出を妨げる1つの大きな要因になっていることは否めない.ここでは研究者がポスドクとして,米国に留学した場合を想定し,いかにして効率的に仕事上の英語会話力を向上させるのストラテジーを紹介する.

第7回 検索される自分:発信力
“The Art of Blogging”
【概要】

ある学会でクリスと知り合いになった.次の日クリスは何をするだろうか.明日となりの州の大学の研究室に共同研究のミーティングに行き,アンジェラとはじめて会う.今日アンジェラは何をするだろうか.きっとクリスもアンジェラもあなたの名前でPubMedとGoogleでサーチをするだろう.今や研究者にとっての名刺とはPubMedとGoogleでのサーチ結果である.言うまでもなく研究者は優れた論文をパブリッシュし,PubMedのサーチ結果を充実させる努力を日夜しているだろう.しかし,意外にGoogleでのサーチ結果に無関心ではないか.ここではホームページやブログをとおしてGoogleでのサーチ結果を充実させる「研究者の名刺」ストラテジーを提唱する.

第6回 プロダクティビティーを上げる時間管理術
【概要】

研究者というプロフェッショナルな仕事の魅力の1つは自由度の大きさである.時間的なフレキシビリティーである.それゆえに研究者にとって時間管理はキャリア管理であり,生産性を決定する大きなファクターである.GTD(Get Thing Done)に代表される優れた時間管理術が毎年何冊も出版され,このトピックは研究者だけでなくビジネス・パーソンにとっても永遠のテーマである.時間管理は達成が困難であるだけに,きっちりと時間管理ができたときの充実感は大きく,これが時間管理術のドライビング・フォースの1つである.しかし,この充実感はともすれば手段であるはずの時間管理を目的にしてしまいがちである(例:時間管理術を達成するためなら,いくら時間を無駄にしてもかまわない).ここでは最もシンプルでストレートフォワードな時間管理のコンセプト:(プライオリティー)3を提唱する.

第5回 批判され/批判して自分を磨く「フィードバック力」
【概要】

パブリック・スピーキングは人が恐怖を感じる行為のナンバーワンであり, 常に死の恐怖を凌ぐ.人は自分の意見(自分の研究)を公の場で言うことをためらう.なぜなら自分の意見を批判・否定されるのが怖いからである.しかし,その裏返しとして,人は他人を激しく批判することに潜在的に快感をおぼえる.この負の連鎖は少しの工夫で建設的なプロセスに変えることができる.研究者が自己を磨く機会としての建設的な批判の仕方を提唱する

第4回 自分のストーリーを語る「物語力」
〈プロ研究者のコミュニケーション力 〜その1〜〉Art of Story-Telling
【概要】

「世間話(スモール・トーク)で会話がはずみ,初めて会った某大学プロフェッサーと親しくなり,共同研究のチャンス,ひいてはアカデミック・ポジション獲得につながった」こんなシンデレラストーリーを現実のものとするためにコミュニケーション力・ネットワーキング力を身につけねばならないという人もいるだろう.しかし,コミュニケーション力・ネットワーキング力とは一生かけて磨くものであり教えてもらって短期間で身に付くものではない.そこで,「ネットワーキング・クラッシュコース」として,まず「自分の物語(story)を語る」ことからはじめることを提唱する.

変化に対する苦痛・恐怖を克服する
“Change or Die”
【概要】

あなたは「変化」と「現状維持」のどちらを選ぶだろうか.「変化」は常に「痛み」を伴い,失敗することへの潜在的「恐怖感」を惹起するので,ひとは「現状維持」に走りがちである.しかし,グローバル化が進み,競争が激化するなかで好むと好まざるに関わらず「現状維持」ではサバイバルすることはできない.これは研究者にとっても同じである.いかに「変化」を受け入れるかがキャリア戦略で非常に重要になる.ここでは「変化」を上手く受け入れる戦略「ズーム・プラス」を紹介する.

【概要】

研究者は営業やセールスの仕事をするとは夢にも思わないかもしれない.しかし,研究者は「自分のサイエンス」を自分で売るセールスマンでもある.研究者がセールスマンとして知るべき最も重要なことは「自分の世界で一番になる」マイクロマーケティング戦略である.

第1回 自分の強みにこだわる仕事術
Strengths-based approach(SBA戦略)Online supplement materialはこちら
【概要】

弱点を克服しバランスのとれた人間になることが社会人として成熟するには重要であると学校では教えてきた.しかし,世界のトップレベルのパフォーマンスを誇る企業ではスタッフの「弱点克服」ではなく「長所を伸ばすことに投資」するStrengths-based approach(SBA戦略)が取り入れられている.SBA戦略は一般のビジネス・パーソンだけでなく,研究者のように専門性の深さと業績で評価されるクリエイティブでプロフェッショナルな職業にこそ適した仕事とキャリアの戦略である.長所を伸ばすことを重視するSBA戦略で,研究者がストロング・ライフをおくることを提唱する.