みさと健和病院(レジデントノート Vol.3 No.5掲載)
病院・医局紹介

みさと健和病院

人口13万人の埼玉県三郷市南部に位置し, 診療圏は埼玉県南部, 千葉県西部, 東京都足立区, 葛飾区におよぶ. 早くから在宅医療・訪問看護にとり組んできた柳原病院(東京都足立区)を母胎として1983年に設立された. 健和会のなかで機能分担しながら, 地域の中核病院の役割を担っている.

診療科:内/呼/循/胃腸/小児/整外/眼/耳鼻咽喉/皮膚/泌尿器/婦人/リハビリ/リウマチ/アレルギー/放射線/肛門/外/脳神経外/精神
病床数:256床
初期研修中の医師数(2001年度):1年次:4名,2年次:5名

みさと健和病院

〒341-8555
埼玉県三郷市鷹野4-494-1
TEL 0489-55-7171(代)
URL http://www.kenwa.or.jp/
[病院の紹介] [地域医療,ネットワーク] [臨床研修の概要] [最後に] [研修医にインタビュー]

病院の紹介

みさと健和病院の歴史

宮崎病院長:みさと健和病院は,東京足立区の柳原病院を母胎として設立されました.柳原病院は『地域に医療の原点を見い出そう,地域で医者を養成しよう』という志をもち,大学を飛び出した医師らが,熱心に臨床,研究活動を行っていました.病床数は少ないながら,早くから在宅医療・訪問看護にもとり組み,患者さん中心のとても良質の医療を行う病院となりました.そして,それをさらにスケールアップした200床以上の規模の病院が必要ということになり,ここ三郷市につくられたのがみさと健和病院です.三郷市は,農村と都市の中間のようなところで,高齢の方から若い方まで住民の年齢層が広く,疾患も多彩な地域でした.こういう場所で,地域の開業医の先生と連携しあい,研修,医者の教育ができないかと考えたわけです.また,地域の方々も一緒になって,この病院の成長を手助けしてくれたのです.病院を支える地域住民の組織「友の会」,毎年秋にひらかれる「病院祭」など,地域との交流を通し,地域の中の病院であるということを実感して,医療を行っています.

宮崎病院長
宮崎病院長

地域医療での研修の意義

地域医療では,患者さんは何も診断がつけられていない“生”の状態で病院に来られます.大学病院などでは紹介されて来られた患者さんが多く,ある程度,病気についてわかったうえで診療することができるのですが,地域ではそうはいきません.入院にしても,外来にしても,研修医がいろいろな背景を抱えた患者さんにはじめから接し,対応しなければなりません.このように,自らあらゆる問題にぶつかり,解決していくことこそが,地域医療研修の醍醐味だと思うのです.これは柳原病院で志した医療の出発点と同じです.

画期的な研修プログラムの実施

1994年,当院は臨床研修病院の指定を受けました.当院を主病院とし,柳原病院,2つの従病院(松戸市立病院,国立精神・神経センター国府台病院)を合わせた「病院群」として,研修病院指定されたのです.これは全国でも初めてのことです.

また,臨床研修の2年間のプログラムの中に,外来研修をとり入れたのも当院が初めてです.同じく,往診研修をとり入れたのも初めてです.

専門医だけを育てるのでなく,地域の中でプライマリケア医を養成しようと,それを大きく掲げたのも,この病院が初めてだったと思います.

臨床研究活動

また,地域で臨床をやるなかで,一定の法則性をみつけることを目的に,臨床疫学研究所,臨床看護学研究所を設立し,日常の診療についてまとめています.実践で学んだことを,さらに次の医療につなげ役立てるための努力をしているのです.

また,実際の診療のなかからみつけられた教訓,たとえばピットフォールや失敗例など,たくさんありますが,それらを言語化して教育に役立てたいと考え,出版活動も積極的に行っています.


地域医療,ネットワーク

宮広事務次長:みさと健和病院は研修指定病院であると同時に,健和会法人の組織でもあります.健和会には診療所,訪問看護ステーション,薬局など,さまざまな機能をもつ事業所が約50あり,病診連携,医療ネットワークをつくっています.そういったなかにみさと健和病院があり,地域の中核病院としてその役割を果たしています.また,開業医の先生方ともうまく連携した医療を行いたいと思っています.

院内,健和会内でも,「病院通信」の発行,サークル活動などがありますが,職員同士の交流を深めると同時に,情報を交換する場としてとても役立っています.

また,卒前の学生の方の病院見学も受けつけています.夏休みや春休みを利用して,年間30人くらいの方が当院に来られます.健和会の医療はどういうものかを広く知ってもらいたいと思いまして,だいたい2〜3日間から1週間くらいの日程で,往診・訪問看護について行ったり,研修医の外来診療を見学してもらうなど,見学中心の実習をしていただいています.当院のホームページを見て申込まれる方が多いです.

宮広事務次長
宮広事務次長

臨床研修の概要

オリエンテーション

石川医師
石川医師

石川医師:当院の研修では,最初の1カ月間のオリエンテーションで「他職種研修」を行います.これは,病院内のすべての業種を体験してもらい,その仕事を知り,チームワーク医療の実際を理解してもらうことが目的です.検査課,栄養課,医事課などなど.見学だけではありません.実際に仕事をしてもらいます.患者さんになって,入院体験もしてもらいます.

また,「三郷周辺地域オリエンテーリング」で地域を回って,三郷がどういう地域であるのかを理解し,地域医療圏を知っていただきます.これらのオリエンテーションを終えて,はじめて病棟研修が始まります.

内科病棟研修

基本的には内科スーパーローテート研修となります.臓器別の科の編成はなく,内科混合病棟を回り,各科にまたがる多彩な疾患の患者を受け持ちます.

みさと健和病院の3つの内科病棟,および柳原病院の病棟を1年半でローテートします.残りの期間は外科,整形外科病棟を回りますが,うち,1カ月間は従病院の国府台病院で産婦人科,泌尿器,精神科,松戸市立病院で放射線科の研修ができます.耳鼻科,眼科,小児科は,内科病棟研修中に時間を調整して行います.現場の指導医の先生と相談しながら,かならずペアで診療を行うようになっています.

外来・当直研修

1年目の8月から,内科外来研修が始まります.研修開始にあたっては,婦長,事務のオリエンテーション後,指導医から外来研修総論を学び,実際の外来診療が始まります.もちろん,いつでも指導医に相談でき,チェックしてもらえるようになっています.外来研修の少し前から,当直研修も始まります.

往診(訪問診療)研修

2年目からは,往診(訪問医療)研修が始まります.約1カ月のオリエンテーション後,1人で往診を行います.

2年間の研修ローテートのなかで,外来・当直,往診は,週に何回,月に何回,という形で,継続性をもって研修を続けています.

研修のプログラムに外来診療,往診診療が組み込まれている病院は,それほど多くないかもしれません.特に往診研修は,病院内の研修だけではわからないことを学べる,貴重な経験だと思います.

研修プログラムの例
  • (1) ICU・救急・循環器・呼吸器・血液・一般内科
  • (2) 救急・消化器・腎・代謝・内分泌・膠原病・一般内科
  • (3) 老人医療・リハビリテーション・一般内科
  • (4) 在宅医療・一般内科・救急
  • *:(1)〜(4)のいずれか

最後に

石川医師:この病院では,主にgeneralistの養成を目指してきました.しかし,診療の内容から考えると,専門医としての特質も要求されてきます.当院も専門性の特質をもち,急性期病院としての役割もそなえた病院になっていかなければならないという課題があります.generalityと同時に,個人個人の専門的な知識が必要となってくるのです.

そのために,今後は長いスパンで研修,研修後のステップアップの道筋を立ててあげられるプログラムづくりを考えています.2年間という研修期間は充分ではないかもしれません.5年間くらいで構想を呈示して,「どういう医者になって,どのような医療をやりたいのか」を,研修医自身が考えることのできる,教育をやっていきたいと思っています.

また私たちとしては,研修だけではなく,その後もこの病院で一緒に働いてほしいのです.

急性期病院としての新しい病院建設が予定されています.新しい試みには,若い先生方の力が必要です.ぜひ,やる気のある先生方に来ていただいて,一緒に頑張ってもらいたい思っています.

取材にご協力いただきました先生方,この度は誠にありがとうございました. (編集部 久本容子)


研修医にインタビュー

研修1年目の栗原先生,2年目の岩村先生に,研修医の立場からお話をいただきました.

●みさと健和病院で研修することにした理由

栗原:大学病院ではなく,市中病院で臨床医をやりたいと思っていました.大学病院では紹介されて来られる患者さんが多いですよね.たとえば「お腹がいたい」といわれる患者さんを最初から自分で診て,考えて,診断をつけられるようになりたいと考えたとき,やはり研修は市中病院でやりたいと考えたわけです.また,市中病院でできる医療というのが,どのくらいのものなのか知りたいという希望がありました.

私は学生のときに,いろいろな病院を見学しました.その中でみさと健和病院は,地域病院としてとても良いシステムをもった病院だとわかり,ここで研修をすることに決めました.

ここでは臓器別に科が分かれていません.そのため,多科にわたる患者さんを受けもちます.疾患も多彩なので,多科にわたる知識が求められ,とても勉強になります.

栗原先生
岩村先生

岩村:私は以前,精神科で往診医として働いていたのですが,内科についてしっかり学びたいと思うようになりました.そんな時にこの病院を知り,内科研修のシステムがしっかりしていることと,前にやっていた仕事に近いこともできるということで,飛び込んできましたす.

●外来研修ついて

栗原:6カ月めにはもう外来業務につきます.早いな,とは思いましたが,良い指導医の先生に恵まれて,それだけのシステムができあがっているからこそ,できる研修だと思います.

病棟でも,頭のなかで考える鑑別診断は基本的に外来とかわらないので,外来をやることは,鑑別診断について考える良いトレーニングになっています.

●往診研修ついて

岩村:2年目から往診研修が始まります.私は自分が外来で診させていただいていた方を,引き続き往診で診させていただいています.往診研修を通して,病院と家とは機能が全然違うことを感じています.家が患者さん本来の生活の場です.そこに医療を持ち込めるというのは,非常に望ましいことなのではないかと思います.また,退院で病院から家に戻られる際に考えるべきことの幅が広がったように思います.たとえば,高齢の方にとっては,家の段差1つがバリアとなっていることなどです.

●この病院で研修をしたいと考える方へ

岩村:この病院は規模が小さくこじんまりとしています.だからこそ,各科の垣根は低く,他科の先生にもコンサルテーションしやすいところがとても良いと思います.フットワークも良いので,往診,外来を学びたい方には最適ではないかと思います.

栗原:忙しい環境ですが,勉強のためのメニューはいろいろそろっています.個性的な先生も多く,ご自分の専門領域のことについていろいろ教えて下さいます.研修医も自主的に集まり,勉強会もよくやっています.やる気のある方なら力を伸ばすことができる病院だと思います.

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