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みさと健和病院の歴史宮崎病院長:みさと健和病院は,東京足立区の柳原病院を母胎として設立されました.柳原病院は『地域に医療の原点を見い出そう,地域で医者を養成しよう』という志をもち,大学を飛び出した医師らが,熱心に臨床,研究活動を行っていました.病床数は少ないながら,早くから在宅医療・訪問看護にもとり組み,患者さん中心のとても良質の医療を行う病院となりました.そして,それをさらにスケールアップした200床以上の規模の病院が必要ということになり,ここ三郷市につくられたのがみさと健和病院です.三郷市は,農村と都市の中間のようなところで,高齢の方から若い方まで住民の年齢層が広く,疾患も多彩な地域でした.こういう場所で,地域の開業医の先生と連携しあい,研修,医者の教育ができないかと考えたわけです.また,地域の方々も一緒になって,この病院の成長を手助けしてくれたのです.病院を支える地域住民の組織「友の会」,毎年秋にひらかれる「病院祭」など,地域との交流を通し,地域の中の病院であるということを実感して,医療を行っています. |
![]() 宮崎病院長 |
地域医療では,患者さんは何も診断がつけられていない“生”の状態で病院に来られます.大学病院などでは紹介されて来られた患者さんが多く,ある程度,病気についてわかったうえで診療することができるのですが,地域ではそうはいきません.入院にしても,外来にしても,研修医がいろいろな背景を抱えた患者さんにはじめから接し,対応しなければなりません.このように,自らあらゆる問題にぶつかり,解決していくことこそが,地域医療研修の醍醐味だと思うのです.これは柳原病院で志した医療の出発点と同じです.
1994年,当院は臨床研修病院の指定を受けました.当院を主病院とし,柳原病院,2つの従病院(松戸市立病院,国立精神・神経センター国府台病院)を合わせた「病院群」として,研修病院指定されたのです.これは全国でも初めてのことです.
また,臨床研修の2年間のプログラムの中に,外来研修をとり入れたのも当院が初めてです.同じく,往診研修をとり入れたのも初めてです.
専門医だけを育てるのでなく,地域の中でプライマリケア医を養成しようと,それを大きく掲げたのも,この病院が初めてだったと思います.
また,地域で臨床をやるなかで,一定の法則性をみつけることを目的に,臨床疫学研究所,臨床看護学研究所を設立し,日常の診療についてまとめています.実践で学んだことを,さらに次の医療につなげ役立てるための努力をしているのです.
また,実際の診療のなかからみつけられた教訓,たとえばピットフォールや失敗例など,たくさんありますが,それらを言語化して教育に役立てたいと考え,出版活動も積極的に行っています.
宮広事務次長:みさと健和病院は研修指定病院であると同時に,健和会法人の組織でもあります.健和会には診療所,訪問看護ステーション,薬局など,さまざまな機能をもつ事業所が約50あり,病診連携,医療ネットワークをつくっています.そういったなかにみさと健和病院があり,地域の中核病院としてその役割を果たしています.また,開業医の先生方ともうまく連携した医療を行いたいと思っています. 院内,健和会内でも,「病院通信」の発行,サークル活動などがありますが,職員同士の交流を深めると同時に,情報を交換する場としてとても役立っています. また,卒前の学生の方の病院見学も受けつけています.夏休みや春休みを利用して,年間30人くらいの方が当院に来られます.健和会の医療はどういうものかを広く知ってもらいたいと思いまして,だいたい2〜3日間から1週間くらいの日程で,往診・訪問看護について行ったり,研修医の外来診療を見学してもらうなど,見学中心の実習をしていただいています.当院のホームページを見て申込まれる方が多いです. |
![]() 宮広事務次長 |
![]() 石川医師 |
石川医師:当院の研修では,最初の1カ月間のオリエンテーションで「他職種研修」を行います.これは,病院内のすべての業種を体験してもらい,その仕事を知り,チームワーク医療の実際を理解してもらうことが目的です.検査課,栄養課,医事課などなど.見学だけではありません.実際に仕事をしてもらいます.患者さんになって,入院体験もしてもらいます. また,「三郷周辺地域オリエンテーリング」で地域を回って,三郷がどういう地域であるのかを理解し,地域医療圏を知っていただきます.これらのオリエンテーションを終えて,はじめて病棟研修が始まります. |
基本的には内科スーパーローテート研修となります.臓器別の科の編成はなく,内科混合病棟を回り,各科にまたがる多彩な疾患の患者を受け持ちます.
みさと健和病院の3つの内科病棟,および柳原病院の病棟を1年半でローテートします.残りの期間は外科,整形外科病棟を回りますが,うち,1カ月間は従病院の国府台病院で産婦人科,泌尿器,精神科,松戸市立病院で放射線科の研修ができます.耳鼻科,眼科,小児科は,内科病棟研修中に時間を調整して行います.現場の指導医の先生と相談しながら,かならずペアで診療を行うようになっています.
1年目の8月から,内科外来研修が始まります.研修開始にあたっては,婦長,事務のオリエンテーション後,指導医から外来研修総論を学び,実際の外来診療が始まります.もちろん,いつでも指導医に相談でき,チェックしてもらえるようになっています.外来研修の少し前から,当直研修も始まります.
往診(訪問診療)研修2年目からは,往診(訪問医療)研修が始まります.約1カ月のオリエンテーション後,1人で往診を行います. 2年間の研修ローテートのなかで,外来・当直,往診は,週に何回,月に何回,という形で,継続性をもって研修を続けています. 研修のプログラムに外来診療,往診診療が組み込まれている病院は,それほど多くないかもしれません.特に往診研修は,病院内の研修だけではわからないことを学べる,貴重な経験だと思います. |
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石川医師:この病院では,主にgeneralistの養成を目指してきました.しかし,診療の内容から考えると,専門医としての特質も要求されてきます.当院も専門性の特質をもち,急性期病院としての役割もそなえた病院になっていかなければならないという課題があります.generalityと同時に,個人個人の専門的な知識が必要となってくるのです.
そのために,今後は長いスパンで研修,研修後のステップアップの道筋を立ててあげられるプログラムづくりを考えています.2年間という研修期間は充分ではないかもしれません.5年間くらいで構想を呈示して,「どういう医者になって,どのような医療をやりたいのか」を,研修医自身が考えることのできる,教育をやっていきたいと思っています.
また私たちとしては,研修だけではなく,その後もこの病院で一緒に働いてほしいのです.
急性期病院としての新しい病院建設が予定されています.新しい試みには,若い先生方の力が必要です.ぜひ,やる気のある先生方に来ていただいて,一緒に頑張ってもらいたい思っています.
取材にご協力いただきました先生方,この度は誠にありがとうございました. (編集部 久本容子)