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船橋二和病院の開院は1981年.以来20年間,地域の人々とともに一から手作りで,医療を行ってきた.それを支えてきたのは「健康友の会」の活動であったという.
岡本氏「千葉民医連の病院,診療所の患者さんが“自分たちの病院が欲しい,自分たちの病院を作ろう”という気持ちで集まり,『健康友の会』が発足しました。その方々が,私たちと一緒になってこの病院を作って今日まで支え発展に力を尽してくれています.医師へ向けて声を発してくれることで,良い病院ができあがり,地域に必要とされる良い医師が育つ環境ができたのだと思っています」 |
![]() 岡本氏 |
![]() 佐藤医師 |
佐藤医師「地域に必要とされる病院であることが,この病院の大きな特徴だといえます.当院はこの地域の基幹病院です.病床数に比べると,外来患者さんの方が多いですね.軽症の患者さんから重症の患者さんまで,また年齢層も幅広く,子供から高齢の方までいらっしゃいます.このあたりは東京まで通勤されている方も多い地域ですので,子供の数も比較的多いと思います.また,基本的にどのような患者さんも断らないというのが当院の方針です.自分の専門にかかわらず,すべての患者さんを診る,そういう医師がこの地域で必要とされているのです」 |
船橋二和病院の研修は,各科および病院間のローテート研修である.約300床の二和病院,100床の千葉健生病院,さらに診療所での研修も組み込まれている.同じ内科を研修するのにも,専門分化した大きな病院と,専門分化していない比較的小さな病院では,初期対応のしかたも変わるためだ.こうして多様なニーズに応えられる,医師養成を目指している.
病院設立当初は内科,外科,小児科のローテート研修だった.その後,産婦人科,診療所研修が加わったということだ.
研修医の出身大学は全国各地だが,千葉県出身の人が地元に帰ってくることが多いらしい.
「プライマリケアをやるからには,小児科を研修すべきである」ということで,スーパーローテート研修に2〜3カ月の小児科研修が組み込まれている.
佐藤医師「小児科研修の主な内容としては,病棟で主治医になってもらうことです.一番の目的は子供に慣れてもらうことです.当院には小児科の常勤医が,半分小児科医のような医師を含め,4人います.研修医は外来の救急当直もするのですが,そこで困った場合には,病棟当直している経験のある上級医に相談することができます.そこで解決できればよいですし,もし小児の専門の問題が起こってしまったら,小児科医の当番が待機していますので,その医師に相談することもできます」
二和病院の医局は単一医局で40人もの医師が1つの医局で机を並べている.普段から他科の医師とのコミュニケーションがとりやすく,いざというときのコンサルトもスムーズにできるそうだ.また,専門医へコンサルトした患者さんについても,研修医へフィードバックもされやすい.カンファレンスも活発に行われているそうで,これは,壁(垣根)のない医局の利点といえるだろう.
佐藤医師「たいていの施設で夜間の患者さんの半分強は小児なんですが,それに見合うだけの数の小児科医はいません.だから,小児科医でなくてもだれでも一次診療できることが望ましいのです」
小児一次診療のできる医師が不足しているといわれているが,二和病院ではこのようにして小児診療のできる医師の育成ができている.もちろん上級医も皆小児一次診療ができるので,医師全員での受け入れ体制ができあがっている.これは,20年以上にわたってこの病院で培われてきたものだという.
佐藤医師「研修医が小児の診療をする際,医療行為自体は間違っていなくても,説明が足りなかったなどで,あとで親御さんからクレームがくるケースがたまにあります.医学的知識は頭のなかにあるのだけれども,必要十分な情報を患者さんやご家族に与えることが,研修医にとってはまだ難しいのかもしれません.
しかし,小児研修を終えた研修医からは,それまでは当直のときに子供がくると恐かったが,そういう漠然とした恐さがなくなった,診療するのにもいろいろ見通しをもつことができるようになった,子供に対する不安,特に理由のない不安がなくなった,という声を聞きます」
船橋二和病院の医療には,診療所を含めた地域のネットワークの力,また,バイタリティーある医師らの存在が大きいようだ.
岡本氏「現副院長は外科医ですが,かまがや診療所で各科の患者さん,子供さんからお年寄りまで診療しています.また千葉健生病院で10年間外科医として勤めた先生が,いちはら診療所の所長をしています.外科医なのに,地域の方から『今度の先生は優秀な小児科医だね〜』と言われたという話もあります(笑).専門科に関係なく,地域の診療所の医師としてやれる力が,私たちの研修で自然に培われているのだと思います.診療所に行きたいという若い先生も多く,そういう力はすごいことだと思います.
この地域のネットワークにおいて,当院は拠点病院の役割をもっています.拠点病院は大変です.しかし,やる気のある医師,友の会をはじめとする地域の方々,みんなの力がこの病院,この地域の医療を作ってきたのです.付け焼き刃ではできません.やはり積み重ねだと思います.この度,臨床研修の必修化にあたり,厚生労働省から打ち出された研修目標の内容などは,私どもとしてはこれまでずっと行ってきたことでしたから,全く違和感のないものですね」
佐藤医師「当院の医療は,今の学生さん,若い方の求めている方向に合致していると思います.まだ弱い部分もありますが,これから先大事になっていくだろうところを強化していこうと努力しています.病院として研修の目安はありますが,研修医各個人の到達状況や希望も受け入れて,ある程度フレキシブルに研修できる形になっています.ですから,自分の要求に近い研修ができると思います」
佐藤医師「いろいろ研修の整備はされてきているのですが,すべて整いすぎてしまうと自主的な研修の妨げになってしまう場合もあります.いろいろな環境で患者さんに接しながら成長することもありますが,患者さんにとって不利益なことが起こってはいけません.ですから,研修の間は指導医が目を光らせています.また,臨床研修のテキストにあたる「臨床医マニュアル」(近藤克則ほか 編著,第2版,医歯薬出版,11月出版予定)なども,指導医で準備しています.一方,私たちは主体的な研修を行えるための最低限の手伝いをしようと思っています.ですから,研修医自身の熱意や目標が高いほど,良い研修ができるのです.
研修医に望むこととしては,責任をもって主治医になれるような研修をしてほしいと思います.患者さんに対して責任をもつというのが一番だと思います.多様化した今の医療内容の中のすべてを自分でやるわけにはいきませんが,自分がもっている力のなかで,責任をもつということです.医師の側では一人前の医師になるための研修ということですが,患者さんにとっては,研修医でも普通の医師と変わりはありませんからね」
お開院以来積み重ねられてきた医療や臨床研修は,今後求められる臨床研修の形を先どりしたものであった.少子化・核家族化の時代に,地域に密着した医療への努力を続ける,エネルギッシュなスタッフの手で,今後も良い医師が育っていくことだろう.2002年4月,船橋二和病院は厚生労働省の臨床研修病院の指定を受けた.ますますの発展を期待するものである. (編集部 久本容子 保坂早苗)
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