実験医学2022年1月号 いま知りたい!!

何ができる? どこで使える? 先端蛍光顕微鏡つかい分けガイド

大友康平,野中茂紀,亀井保博
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いま知りたい!

何ができる?どこで使える?

先端蛍光顕微鏡つかい分けガイド

大友康平 1)〜 4),野中茂紀 1)4)5),亀井保博 4)5)

(自然科学研究機構生命創成探究センター 1)/ 順天堂大学大学院医科学研究科 2)/
自然科学研究機構生理学研究所 3)/ 総合研究大学院大学 4)/ 自然科学研究機構基礎生物学研究所 5))

標的を蛍光標識して顕微可視化する蛍光バイオイメージング法は,医学研究をはじめとした生命科学
研究において重要なツールとなっている.近年の技術発展は目覚ましく,可視化できる標的が増える
一方で,原理も多様かつ高度化し,その原理理解はますます困難を極めつつある.本稿は,大学共同
利用機関に属するわれわれが,共同利用機器として管理する先端顕微鏡について,その動作原理を概
説し,特徴の比較,用途の提案を行う.自身の興味対象を可視化解析するにあたり,その手法選定の
一助となれば幸いである.
蛍光タンパク質への展開,化学分野による種々の蛍光

はじめに

プローブ開発アプローチにより生細胞イメージングが

古来,肉眼では観察できないミクロの世界を覗いて
見たいと,多くの自然科学分野の研究者が思ってきた.

大きく発展することとなった.
本稿においては蛍光顕微鏡 1)をベースとしてさまざ

現代では,それを実現する「顕微鏡(microscope)
」と

まな先端顕微鏡技術を紹介し,各技術の概要と特徴を

称される機器はかなり多種多様であり,原理もさまざ

紹介する.そして,目的に合った顕微鏡法を見つける

まである.これらの可視化原理に基づき,光学顕微鏡,

ための各顕微鏡法の比較を行う.一方で,先端顕微鏡

電子顕微鏡,原子間力顕微鏡,X 線顕微鏡,超音波顕

は高価であったり,手製の場合もあったりする.また,

微鏡などに分類される.

国内に数台しかないようなものもある.ではそういっ

16 世紀末ごろに,ガラス等の物質を成形・研磨して

た希少な顕微鏡は借りられるのか? われわれの属する

つくられた凸型のレンズを利用してはじめて顕微鏡が

研究所は大学共同利用機関であり,共同利用機器とし

つくられたとされている.17 世紀にはガリレオ・ガリ

て先端顕微鏡を所有しており,全国の研究者のバイオ

レイや,ロバート・フックなどが顕微鏡を使った生物

イメージングを支援しているため,その利用方法等に

の観察スケッチを残している.このように,拡大して

関しても最後に紹介する.

(直接眼で)見るための道具から顕微鏡の歴史ははじ
まったため,19 世紀までは顕微鏡といえば光学顕微鏡
であった.20 世紀に入り高精度な加工技術と,さまざ
まな分野の技術開発とが融合することで,光学顕微鏡
技術は,前記の他の顕微鏡法とともに大きく発展した.

蛍光顕微鏡を利用するにあたっての
基礎知識
顕微鏡光学理論に関して記す良書 (本稿の最後の

特に,レーザー(light amplification by stimulatied

「参考図書」を参照)はたくさんあるので,本稿では基

emission radiation,LASER)や光検出器(光電子増

礎理論に関しては,最低限知っておくべき点について

倍管や撮像素子),そして,コンピュータの発明やその

のみ記す.いくつかの光学系の用語を用いるが,概説

技術向上が光学顕微鏡の,特に蛍光顕微鏡技術のさら

を付け加えながら解説する.

なる発展に寄与している.一方で生物学分野の技術と

❶	倍率と分解能について

して蛍光タンパク質の発見と応用,そして,センサー

凸レンズ(ルーペ)は書物の文字を拡大して見るこ

実験医学 Vol. 40 No. 1(1 月号)2022

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続きは本誌にて御覧ください.
この記事の掲載号

実験医学2022年1月号
夜明けを迎えたヒト免疫学

上野英樹/企画