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治療およびイノベーションの手段としての腸内細菌叢移植療法

Fecal microbiota transplantation as a treatment and as a source of innovation
中原 拓
Taku Nakahara:Metagen Therapeutics, Inc.(メタジェンセラピューティクス株式会社)
10.18958/7011-00001-0000146-00

健常者ドナーの便から腸内細菌叢を分画し,患者に対して移植することでディスバイオーシスを治療する「腸内細菌叢移植法(FMT)」は難治性C. difficile感染症にはじまり潰瘍性大腸炎,がん免疫治療などさまざまな疾患で有効性が報告され,治療においても研究においても有用性が注目されている.一方で,生物由来原料を利用することから,ずさんな管理の元で実施されれば感染症など有害事象リスクを否定できない方法でもある.本稿では最近のFMTの治療効果や方法論の確立に関連する研究の進展を概説し,治療としてかつイノベーションの源泉として正しく社会実装されるために必要な安全性や規制フレームワームに関する最新動向を紹介し議論する.

腸内細菌叢移植法(FMT),ディスバイオーシス,安全性,規制フレームワーク,バイオスタートアップ

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