春の研修医応援企画ドリル祭り2021

症例:全身に皮疹が出現した高齢女性2

症例1のつづき 到着後,JCS 0.体温 36.2 ℃.心拍数 84回/分,整.血圧 80/50 mmHg.呼吸数 20回/分.SpO2 99 %(マスク 4L/分酸素投与下).全身に膨疹を認める.両側胸部で wheezes を聴取する.
本患者では皮膚粘膜症状と呼吸器症状があったため,アナフィラキシーと診断した.
次のうち現時点で確認する必要がないことは何か?

※クリック/タップで拡大します

解答へ
解答

ⓑ アドレナリン筋注

問題の解説:アナフィラキシーの初期治療

アナフィラキシーの初期治療は次のように行います1)

1)原因の除去

  • 原因が投与途中の薬剤であれば中止する.
  • 虫刺傷で針などが残っていればすぐに除去する.

2)気道の評価

  • 著しい喘鳴または呼吸停止がみられる場合は補助換気や気管挿管を考慮する.
  • 気道への浸潤または口蓋垂を含む口腔咽頭組織の著しい浮腫がある場合,または声の変質があるときは緊急気道確保が必要な可能性を示唆する徴候である.
  • 上気道浮腫がある場合緊急輪状甲状腺切開術が必要となる場合がある.

3)アドレナリン投与

  • アドレナリン0.01 mg/kg(最大量成人約0.5 mg,小児約0.3 mg)を大腿前外側へ筋肉注射する.効果がなければ5~15分ごとに反復投与する.

4)細胞外液投与

  • 18 G以上の太い留置針で静脈路を確保し,ショックのときの対応と同様に細胞外液を点滴静注する.

またグルカゴンは,β受容体を介さずに細胞内のcAMPを増やし,徐脈,低血圧,気管支痙攣を改善するため,β遮断薬を使用中(点眼も含む)の患者で,アドレナリンを投与した後に低血圧が遷延する場合には,グルカゴン緩徐静注することが検討されます.しかし,β遮断薬使用中でもアドレナリンが第一選択薬には変わりないことに留意が必要です.というのも,あくまでグルカゴン緩徐静注の有効性に関するエビデンスは症例報告のみであり,限定的であるためです.

アナフィラキシー対応時はβ遮断薬使用中でもアドレナリン筋注が第一選択薬に変わりない

引用文献

  1. Dr.林の当直裏御法度― ER 問題解決の極上Tips90 第2版(林 寛之/ 著)三輪書店,2018.

(2021/09/09公開)

この"ドリル"の掲載書をご紹介します

TOP