画像診断Q&A

レジデントノート 2013年2月号掲載
【解答・解説】息切れを訴える70歳代男性

Answer

自宅外で鳥との接触歴のある慢性鳥関連過敏性肺炎の1例

  • A1:図1では,両側下肺野に網状陰影が認められる.容積減少は認められない.間質性肺炎の画像である.
  • A2:詳細な患者面接によって職歴,生活歴などを聴取することが大切である.本症例では鳩の飼育歴があることから鳥関連過敏性肺炎が強く疑われた.

解説

原因不明の慢性の間質性肺炎の多くは,特発性肺線維症(IPF:idiopathic pulmonary fibrosis)か非特異的間質性肺炎(NSIP:nonspecific interstitial pneumonia)である.本症例の胸部CT像(図2)をみると,胸膜直下の蜂窩肺所見が主体であり,IPFを考え,病理像は通常型間質性肺炎(UIP:usual interstitial pneumonia)を疑う.喫煙歴のある人によく起こるパターンである.しかし,生活歴を聴取すると,仕事は5年前まで普通の会社経営を行っていたが,鳩が好きで,半年前まで約20年間鳩を飼育していたことがわかった.それまで40羽の鳩を飼育し,鳩舎を掃除していたという.図3では,一部気道に沿った索状陰影(図3B )があり,鳩糞の抗原の吸入による変化の可能性が考えられ,鳥関連過敏性肺炎(BRHP:bird related hypersensitivitiy pneumonitis)と考えた.胸腔鏡下(VATS)肺生検では主体がUIPであったがやはり経気道性の線維化の変化もありBRHPに矛盾しなかった.なお,専門施設に依頼して,鳩排泄物(PDE:pigeon droplet extracts)を抗原とする① 自己抗体検査,② リンパ球刺激試験を行ったところ前者が陽性であり,BRHPと確定診断された.

間質性肺炎症例の診療においては,できるだけその原因を追究することが必要であり,そのためには以下の病歴聴取を必ず行うようにすることが大切である

① 喫煙歴や吸入歴などを十分に聴取する.② 自覚症状,身体所見,検査所見などによって,膠原病に合併したものでないか十分に検討する.③ 常に鳥関連過敏性肺炎を疑って,鳥との接触歴や羽毛布団の使用状況などを聴取する

本症例は,BRHPと診断され,抗原から回避した生活を送ってもらっている.

図1 胸部X 線写真正面像(初診時)
図2 両側の胸部CT 像
図3 左下肺野のHRCT 像

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プロフィール

前村 啓太(Keita Maemura)
JR 東京総合病院呼吸器内科
山口 哲生(Tetsuo Yamaguchi)
JR 東京総合病院呼吸器内科
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