画像診断Q&A

レジデントノート 2013年8月号掲載
【解答・解説】食欲低下,労作時息切れを訴える90歳代男性

ある1年目の研修医の診断

心拡大があり,右のCP angleがdullで胸水を疑います….

Answer

気管支異物

  • A1:右胸水,心拡大を認める.また右上葉,中葉は確認できるが,下葉の構造は確認できないので,下葉の無気肺もしくは含気の低下が推定される.右肺門部に径1.5 cm大のX線不透過の結節影を認める (図1A).部位は正面,側面写真を合わせると,右気管支の下葉支入口部付近に相当する.気管支内異物が疑われる.

解説

胸部単純写真では右肺門部にX線不透過の境界明瞭な結節を認める(図1A,B).陳旧性結核の所見としての肺門リンパ節の石灰化との鑑別が問題となる.結節は右下葉気管支入口部に一致して存在している.また,右下葉の含気低下,右胸水,心拡大を認める(図1A).

胸部CTでは,気管支内腔に強いアーチファクトを伴うX線不透過の構造物を認め(図2)形状と存在部位より,気管支異物と確認された.

気道に停留した外来性の固形物のことを気道異物と総称し,部位により上気道 (鼻腔,咽頭,喉頭) 異物,下気道(気管,気管支)異物に分けられ,さらにその存在部位で,例えば気管支異物などと呼称する.本症の発生は全年齢を通じ二峰性分布を示す.幼小児では,豆類などの食物(特にピーナッツ)が多い.ピーナッツでは,分解産物の遊離脂肪酸が粘膜を刺激して炎症を起こすことが知られている.一方,成人では歯科関連異物,食物などが多く,嚥下困難,脳血管障害,精神障害,麻痺を伴う高齢の患者に多い1,2)

気道異物では発症直後に,咳嗽,喘鳴,呼吸困難,チアノーゼなどの症状を急性に示すことがあるが,本例のように症候が少なく気づかれない場合もあり,無気肺,閉塞性肺炎,反復性肺炎,膿胸などを契機に発見されることもある.

本例ではこの後,気管支ファイバースコープにて異物(歯冠)を除去した.本例の気管支異物誤嚥発生の時期は不明だが,気管支内に肉芽の形成がみられ(図3A),ある程度日数が経過したものと思われた.抗菌薬を投与し,約1週間後に撮影した胸部単純X線写真では右胸水の消失がみられた.

図1 胸部単純X線
図2 胸部CT縦隔条件
図3 気管支鏡所見

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文献

  1. 宮澤輝臣 ほか:気道異物・狭窄病変への対処.The Lung perspectives,20:57-61,2010
  2. 渡辺洋一:気管支内視鏡検査と画像所見のABC 治療(3) 気胸,気道異物の内視鏡治療.呼吸,30:451-454,2011

プロフィール

大河内 康実(Yasumi Okochi)
社会保険中央総合病院 呼吸器内科
徳田 均(Hitoshi Tokuda)
社会保険中央総合病院 呼吸器内科
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