画像診断Q&A

レジデントノート 2015年4月号掲載
【解答・解説】高熱を主訴とした60歳代男性

Answer

高熱を主訴とした劇症レジオネラ肺炎の1例

  • A1:胸部単純X線像では,左側の上中肺野,右側の中肺野に広範な浸潤影が認められる(図1).胸部CT像でも気管支透亮像(図2)を伴う浸潤影がみられる.
  • A2:レジオネラ肺炎,オウム病などを疑って水接触歴,鳥類との接触歴を細かく聴取する.尿中の各種抗原検査を行う.
  • A3:キノロン薬による治療.

解説

高熱を主訴とした急性,重症の市中肺炎であり,レジオネラ肺炎が十分考えられる.本症例では尿中Legionella抗原が陽性であり,喀痰でもLegionellaの血清群Ⅰが培養された.Legionella属は自然界の土壌や淡水(川や湖)に広く生息している.人工的な水循環設備(循環式浴槽,ジャグジー,加湿器,ビル屋上に建つ冷却塔,噴水などの修景施設)から発生するエアロゾルを吸入することで発症することが多い.稀ながら溺水,カーエアコン,洗車,高圧洗浄機,野菜への噴霧水に伴う感染例が報告されている.本症例では発症7日前に自宅外壁をマスクをせずに,長時間高圧洗浄機を用いて洗浄しており,これが原因であると推測された(Legionellaの潜伏期間は数日~10日とされる)

レジオネラ肺炎では39℃以上の高熱が90%程度にみられることが特徴的である.一方咳嗽は40~90%に,呼吸苦は20~60%にみられるとされており,必ずしも呼吸器症状を伴わないことを念頭におかねばならない.レジオネラ肺炎の胸部CT所見は比較的広範に広がるすりガラス陰影内に,区域もしくは亜区域性の広がりをもつ斑状の浸潤影を示す例が全体の2/3を占め,残りの1/3が葉もしくは区域性の浸潤影を示すとされている.本症例では後者の陰影がみられた(図2).

レジオネラ肺炎は適正な抗菌薬が使用されても病態が悪化する場合があることが知られている.治療の基本はキノロン薬であり,本症例は,入院時よりレボフロキサシン(LVFX)1回500 mg 1日1回 を用いて治療開始したが悪化した.人工呼吸管理,ステロイド,エンドトキシン吸着などを行ったが,第6病日に死亡した.レジオネラ肺炎の死亡率は5~10%とされている.早期発見,診断,治療が望まれる病態である.

図1 来院時胸部単純X線像
図2 来院時胸部CT像

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文献

  1. Gupta SK, et al:Evaluation of the Winthrop-University Hospital criteria to identify Legionella pneumonia. Chest, 120:1064-1071, 2001
  2. Sakai F, et al:Computed tomographic features of Legionella pneumophila pneumonia in 38 cases. J Comput Assist Tomogr, 31:125-131, 2007

プロフィール

芳賀 高浩(Takahiro Haga)
日産厚生会玉川病院 呼吸器科
山口 哲生(Tetsuo Yamaguchi)
JR東京総合病院 呼吸器内科
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