画像診断Q&A

レジデントノート 2015年12月号掲載
【解答・解説】下腹部痛を主訴とした80歳代女性

Answer

膀胱穿孔

  • A1:骨盤内(図1図3),左傍結腸溝(図2)に液体貯留を認める.著明な高吸収でヨード造影剤(尿)の漏出と考えられる.図1図3に示したように,膀胱壁が菲薄化した部分があり,膀胱からの漏出が考えられる.
  • A2:膀胱穿孔(腹腔内に造影剤漏出).

解説

膀胱壁が損傷・穿孔をきたす原因として以下の3つがあげられる1,2)

1)医原性

婦人科手術,直腸手術,TUR-Bt(transurethral resection of the bladder tumor:経尿道的膀胱腫瘍切除術)後,TUR-P(transurethral resection of the prostate:経尿道的前立腺腫瘍切除術)後,尿道カテーテルの長期留置,骨盤内悪性腫瘍(子宮頸癌,子宮体癌,前立腺癌,直腸癌など)に対する放射線治療後.

2)外傷性

交通事故(骨盤骨折など),下腹部打撲・殴打など.

3)二次性

くり返す膀胱炎,前立腺肥大症,S状結腸憩室炎からの穿通,骨盤内悪性腫瘍(子宮頸癌,子宮体癌,前立腺癌,直腸癌など)の直接浸潤.

本症例では,造影剤の明らかな血管外漏出の所見はなく,尿路系からの漏出が疑われた.CTでは腎盂・尿管には明らかな異常はなく,膀胱壁に菲薄化した部位があったため,膀胱穿孔が示唆された.過去に骨盤内に放射線治療の既往があり,その影響と考えられた.当院泌尿器科で膀胱穿孔修復術が施行され,2週間後に退院となった.

膀胱損傷・穿孔の診断におけるゴールドスタンダードは逆行性膀胱造影3)であるが,骨盤内手術歴や放射線治療歴,外傷歴などを有する患者が急激な下腹部痛を訴えた場合,膀胱損傷・穿孔も鑑別診断として想起し,急性腹症をきたすその他の泌尿器疾患,婦人科疾患,消化器疾患などの除外目的も兼ねて造影CT(排泄相:造影剤注入後15〜30分)の撮像を行うことが必要である.ただし,CTでは膀胱内圧が高くないと造影剤の漏出が認められないので,注意が必要である.造影検査後に腹腔内に著明な高吸収を呈する液体貯留を認めた場合には造影剤の漏出を考え,血管からの明らかな漏出がなければ尿路系からの漏出を考慮し,漏出点を探すことが肝要である.

図1 xxxxxxxx
図2 xxxxxxxx
図3 xxxxxxxx

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文献

  1. Titton RL, et al:Urine leaks and urinomas:diagnosis and imaging-guided intervention. Radiographics, 23: 1133-1147, 2003
  2. Amend G, et al:Acute bladder and small bowel perforation as a complication of Foley catheterization. Urology, 83:e5-e6, 2014
  3. Vaccaro JP & Brody JM: CT cystography in the evaluation of major bladder trauma. Radiographics, 20:1373-1381, 2000

プロフィール

砂口 歩(Ayumu Sunaguchi)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
松本 俊亮(Shunsuke Matsumoto)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
陣崎 雅弘(Masahiro Jinzaki)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
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