異所性妊娠とは子宮体部内膜以外の場所で起こる妊娠のことをさし,自然妊娠の1〜2%に生じる.そのうち98 %が卵管妊娠(卵管膨大部妊娠:73%,峡部妊娠:23%,間質部妊娠:4%)である1).そのほか,子宮頸管や腹膜に生じることもある.
生殖補助医療下では異所性妊娠が全体の4%程度に生じると言われており,自然妊娠の約2〜3倍となる.稀に子宮内外同時妊娠もあり,自然妊娠では0.003~0.007%に対して,生殖補助医療による妊娠では0.15~1%前後が子宮内外同時妊娠になると報告されている.そのため生殖補助医療による妊娠の場合は子宮腔内に妊娠を確認しても異所性妊娠の合併を否定できない点に注意が必要である2,3).
異所性妊娠の画像診断のポイントとしては,妊娠反応陽性と子宮内に胎嚢がないことを前提に,以下を確認することが重要である.
異所性妊娠は急性腹症を呈す可能性がある婦人科領域の救急疾患のなかで代表的なものであり,妊娠可能な女性の腹痛をみたら本疾患を疑う必要がある.異所性妊娠の破裂では大量出血で妊婦死亡を招く可能性があるので,画像所見を熟知し,迅速に対応する必要がある.
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