画像診断Q&A

レジデントノート 2016年9月号掲載
【解答・解説】頸部痛を認め,受診した70歳代女性

Answer

crowned dens syndrome(環軸関節偽痛風)

  • A1:CTで軸椎歯突起(図12)背側に石灰化(図12)を示唆する高吸収域を認める.また図3は2カ月後に撮像されたMRIであるが,脂肪抑制T2WI, T1WI(非呈示)でCTでの石灰化部分に一致して低信号域(図3)を認める.
  • A2:crowned dens syndrome(環軸関節偽痛風)

解説

crowned dens syndrome(環軸関節偽痛風)は1985年にBouvetらにより報告された疾患1)で,環椎横靱帯にピロリン酸カルシウム結晶やハイドロキシアパタイトなどの石灰成分が沈着することにより起きる.頸部単純X線や頸部CTで歯突起が王冠(crown)をかぶっているように見えることからcrowned dens syndromeとよばれている.頸部痛を主訴に外来を受診した患者のうち1.9%が本疾患と診断されたとの報告があり,男女比は3:5で中年以降の女性に多い2).典型的な症状としては急性に頸部痛や項部硬直をきたし,数日~数週間持続する発熱を伴う.本疾患は頸部痛や発熱といった症状から,髄膜炎や化膿性脊椎炎などの感染性疾患や,強直性脊椎炎,リウマチ性多発筋痛症,関節リウマチの頸椎病変,側頭動脈炎や外傷,頸椎ヘルニア,変形性頸椎症などとの鑑別が必要となる3).治療はNSAIDs内服のみで大部分が軽快する予後良好な疾患である.

CTでは軸椎歯突起周囲に石灰化を認める.頸部単純X線でも同様に軸椎歯突起周囲に石灰化を認めるが,頸部単純X線のみでは診断が困難なこともあり,本疾患を疑った際には頸部CTの施行が必要である.軸椎歯突起周囲の石灰化のみでは非特異的なので,臨床症状と合わせて除外診断が必要である.MRIでは石灰化を反映してT1WI,T2WIで低信号を呈する.歯突起周囲を中心とした炎症の波及を反映して脂肪抑制T2WIで高信号が認められることもある4).また,MRIは感染性疾患や腫瘍性疾患との鑑別に役立つことがある.

中高年女性の頸部痛,発熱をみた際には鑑別の1つとして本疾患も考慮する必要がある.ほかの疾患と鑑別することで,侵襲的な検査や不必要な治療を回避できる点で,適切な画像診断が重要である.

図1 来院時頸部CT(骨条件) 水平断
					図2 来院時頸部CT(骨条件) 矢状断 図3 2カ月後に撮像された頸部MRI 脂肪抑制T2WI 矢状断

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引用文献

  1. Bouvet JP, et al:Acute neck pain due to calcifications surrounding the odontoid process:The crowned dens syndrome. Arthritis Rheum, 28:1417-1420, 1985
  2. 林 悠太, 他:Crowned dens syndrome. 日大医誌, 72:2-3, 2013
  3. 林 宏樹, 他:抗菌薬投与中に発熱・頸部痛を来しcrowned dens syndromeと診断した1例. 日内会誌, 100:2253-2255, 2011
  4. 山口亮介, 他:Crowned Dens Syndromeの1例 —経時的画像変化—. 整形外科と災害外科, 59:860-864, 2010

プロフィール

松下桃子(Momoko Matsushita)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
松本俊亮(Shunsuke Matsumoto)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
陣崎雅弘(Masahiro Jinzaki)
慶應義塾大学医学部 放射線診断科
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