画像診断Q&A

レジデントノート 2016年9月号掲載
【解答・解説】痙攣で転送された40歳代女性

Answer

脳静脈洞血栓症(cerebral venous thrombosis: CVT)

  • A1:既往歴および内服状況を本人,家族から聴取.特にCVTの危険因子(経口避妊薬の服用,手術,感染,妊娠,産褥,抗リン脂質抗体症候群,悪性腫瘍,ホルモン療法,潰瘍性大腸炎・クローン病など)の存在に注意する.
  • A2:痙攣予防(例:フェノバルビタール静注).CT静脈造影/MRI静脈造影/カテーテルによる血管造影を検討.stroke care unit(SCU)での管理.ヘパリンの投与.

解説

CVTは脳静脈が閉塞し,脳浮腫や脳梗塞をきたす比較的稀な疾患である.動脈性の脳梗塞とは異なり,若年から中年に好発し,女性に多く発症(75%),症状は多岐にわたる.本症例は経口避妊薬を服用中であった(CVTの典型的な危険因子).出血や脳圧亢進が起こり,死亡する場合や障害を残すこともある.早期発見,早期治療に努める.

症状:頭痛は最も頻度の高い症状(90%)であるが,特異的でない.痙攣は40%のCVT患者に起こる.その他の症状に片麻痺,失語,せん妄,記憶喪失などがある.感染性の血栓症ではさらに発熱,眼球結膜や周囲の浮腫などが現れる場合がある.

画像所見:静脈洞に血栓を疑わせる所見,また動脈支配では説明困難な梗塞巣の分布がある場合にはCVTを疑う.CVTは出血性梗塞を起こしやすく,また梗塞巣が多数にわたる場合がある.通常は脳室の拡大は伴わない.本症例では単純CTで上矢状静脈洞に特徴的な高吸収領域(図1)があり,CVTを強く疑うことができた.しかし,単純CT所見で陰性所見が得られてもCVTの可能性が除外されるわけではない.危険因子があり,症状より疑わしければ,CT/MRI静脈造影やカテーテル血管造影(図2)を検討する必要がある.

治療:急性期CVT患者の管理・治療はSCUで行う.必要に応じ専門施設に紹介・転送する.痙攣を伴う場合は抗痙攣薬を投与,頭蓋内圧亢進が疑われる場合にはグリセロールやマンニトールを使用する.また,ヘパリンによる抗凝固療法を行う.抗凝固療法を行っても病状が悪化する場合は血管内治療を考慮する.

図1 xxxxxxxx 図2 xxxxxxxx

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参考文献

  1. 「脳卒中治療ガイドライン 2015」(日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会/編),協和企画, 2015
  2. Saposnik G, et al:Diagnosis and management of cerebral venous thrombosis: a statement for healthcare professionals from the American Heart Association/American Stroke Association. Stroke, 42:1158-1192, 2011
  3. Stam J:Thrombosis of the cerebral veins and sinuses. N Engl J Med, 352:1791-1798, 2005

プロフィール

内藤宏道(Hiromichi Naito)
岡山大学病院 高度救命救急センター
佐藤圭路(Keiji Sato)
岡山大学病院 高度救命救急センター
中尾篤典(Atsunori Nakao)
岡山大学病院 高度救命救急センター
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