画像診断Q&A

レジデントノート 2017年4月号掲載
【解答・解説】頭部打撲後に嘔吐が出現した6歳男児

Answer

くも膜嚢胞

  • A1 :CTにて右中頭蓋窩に低吸収域(図1)を認める.MRIでは脳脊髄液と同様にT1強調像で低信号,T2強調像で高信号(図2)の嚢胞性病変を認める.
  • A2 :本症例では神経学的に異常はなく,無症候性嚢胞と考えられる.1年後近医にてMRIを再検し,変化がなければそのまま経過観察でよい.

解説

【概要】
くも膜嚢胞とは,髄液と同性状の液体で占拠された嚢胞で,その被膜がくも膜で構成される嚢胞である.半数以上は中頭蓋窩,シルビウス裂に生じ,そのほか後頭蓋窩に約20%,大脳円蓋部表面,鞍上槽,大脳半球間裂,四丘体槽にそれぞれ5〜10%ずつ発症する.発症頻度は人口の0.1〜1%程度と推定されているが正確な頻度は不明である.
【症状】
症状としては,くも膜嚢胞が接する脳や神経への圧迫症状,頭蓋骨の局所的なふくらみや頭蓋の拡大,水頭症を合併し頭蓋内圧が亢進することによる症状,発達障害などの非特異的な症状などがあるが,嚢胞との因果関係が不明なことも多く,診断は困難である.実際はCTやMRIを撮像した際に偶然発見される無症候性のくも膜嚢胞が大半を占めている.
【画像所見】
MRIでは境界明瞭な脳実質外腫瘤がすべての撮像法で脳脊髄液と等信号を示すため,小さな嚢胞は周囲の脳脊髄液との区別が難しい.くも膜嚢胞の内部にはflow voidがみられないためT2強調画像では,周囲の脳脊髄液よりもわずかに高信号を示す場合がある.
【治療適応・治療】
無症候性嚢胞は基本的に経過観察でよく,症候性嚢胞が治療の対象となる.主な治療法としては,被膜切開術,嚢胞開窓術,嚢胞腹腔短絡術がある.小児期の無症候性嚢胞に関しては,周囲の脳組織を圧迫する大きな嚢胞は手術が必要であるという意見も多いが,手術適応の明確な基準は存在しない.

図1
図2
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文献

  1. 宮嶋雅一,他:頭蓋内くも膜嚢胞の治療適応と治療上の諸問題.脳と発達,41:185-190,2009
  2. 大野泰正,他:発達障害や双極性感情障害が疑われた両側前頭葉のクモ膜のう胞の1症例.臨床精神医学,41:189-193,2012
  3. 「よくわかる脳MRI」(青木茂樹,他/編著),pp130-131,学研メディカル秀潤社,2012

プロフィール

中井友美(Yumi Nakai)
岡山大学病院 卒後臨床研修センター研修医
飯田淳義(Atsuyoshi Iida)
岡山大学病院 高度救命救急センター
中尾篤典(Atsunori Nakao)
岡山大学病院 高度救命救急センター
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