画像診断Q&A

レジデントノート 2017年7月号掲載
【解答・解説】風邪のような症状で救急受診した70歳代女性

ある1年目の研修医の診断

両下肺野の透過性が低下していますが,乳房による軟部陰影の影響ですね.右中肺野に結節影が見えますが,発熱・咳の原因となるかどうかわからないです.

Answer

肺動静脈奇形

  • A1 :胸部単純X線写真では右中肺野に結節影(図1)を認め,結節に連続する2本の血管様の陰影(図1)を認める.肺動静脈奇形が疑われる.

解説

胸部単純X線写真では右中肺野に結節影を認め,結節に連続する2本の血管様の太い線状陰影を認める.これらは末梢側で先が細くならず,通常の肺動静脈と明らかに異なり,肺動静脈奇形が疑われた(図1).本例の発熱,咳嗽は一過性で普通感冒による症候と考えられた.偶然発見された肺動静脈奇形について,後日,検索を行った.

胸部造影CTでは肺動脈から流入血管,流出血管を経て肺静脈に戻る肺動静脈奇形が描出された.胸部造影CTの3DCT再構成画像を図2に示す.また,腹部造影CT,頭部MRIでは血管異常を認めなかった.

本例は,労作時息切れなどの自覚症状はなかったが,40歳代で小脳梗塞の既往があったため奇異性塞栓症が疑われ,また,流入血管径が3 mm以上あることから,治療適応と考えられた.放射線科専門医により血管造影および経カテーテル肺動静脈奇形コイル塞栓術が行われた.血管造影でも流入動脈が1本,流出静脈が1本のsimple型〔Whiteらの分類(肺動静脈奇形の分類)〕であることが確認された(図3A).流入動脈の完全閉塞により血流の消失が確認された(図3B).

肺動静脈奇形は奇異性塞栓症による脳梗塞や脳膿瘍,低酸素血症をきたすことがあり,その治療適応を含めた検索が必要な疾患である.治療法としては外科的切除と経カテーテル塞栓術があるが,近年はその低侵襲性,確実性などから,カテーテル治療が第一選択とされている.

※奇異性塞栓症:静脈系でできた血栓が卵円孔開存や肺動静脈奇形などの右左シャントを通って左心系に流れこみ塞栓症を生じる病態.

図1
図2
図3
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文献

  1. 塩谷隆信,他:オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)からみた肺動静脈奇形.日本胸部臨床,74:454-462,2015

プロフィール

大河内康実(Yasumi Okochi)
東京山手メディカルセンター 呼吸器内科
徳田 均(Hitoshi Tokuda)
東京山手メディカルセンター 呼吸器内科
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