画像診断Q&A

レジデントノート 2018年01月号掲載
【解答・解説】割り箸を持ちながら転倒した小児

Answer

木箸による穿通性外傷

  • A1 :頭蓋内に低吸収域を認め,気腫と考える(図12).その近傍に気腫に比して高吸収で直線状の構造を認める(図12).頭蓋底を貫通する形で異物(折れた割り箸)が残存していると考えられる.異物近傍には硬膜下血腫やくも膜下血腫も存在していた(非掲示).すぐさま開頭手術が施行された.2.5 cm程度の箸先端が硬膜外腔および眼窩内に存在していた.全摘出術が行われ,術後合併症なく,退院となった.

解説

異物刺入による穿通性外傷は,特に小児において,転倒に伴う突発的な事故の症例が複数報告されている.この際の異物が深部組織にまで達する深達性外傷では,脳実質損傷,脳血管損傷,脳膿瘍などのさまざまな合併症が引き起こされる.このため,診断の遅れにより致命的な経過をとりうるが,異物が完全に組織に埋没されてしまうと視診での評価は困難である.また,受傷後の一過性意識清明期後に神経学的症状を呈し,重症化する症例の報告などもみられ,留意が必要である1).実際の診療においては,診察時にたとえ全身状態が良好にみえても,詳細な病歴聴取・診察を行い,異物残存の可能性がある場合にはすみやかに画像検査を行う.本症例のような木製異物は,単純X線写真ではほとんど識別不可能であり,CT検査を行うことが望ましい.CT検査では,一般的に木製異物は低吸収域として描出される.ただし,木材のCT値はその種類により異なり,水分含有量の変化などによるCT値の変動もあってCTでも同定が困難なことがあり,注意すべきとの報告もある2).内頸動脈や脳底動脈などの重要血管の断裂や閉塞,頭蓋内血腫の存在が病状を急速に悪化させる可能性が高く,死亡原因としても多いため3),このような病態が疑われた場合には造影CTや脳血管撮影による評価を追加することも有用である.

本疾患においては,病歴聴取から異物の存在を疑うことが肝要である.そのうえで,軟部組織条件の頭部CTでは,気腫と木製異物の弁別が困難な場合があるので,骨条件などの複数の読影条件での読影を行うことが望ましい.

図1
図2
  • 画像はクリック/タップで拡大します

文献

  1. Hengerer AS,et al:Internal carotid artery thrombosis following soft palate injuries:a case report and review of 16 cases.Laryngoscope,94:1571-1575,1984.
  2. 扇内洋介,他:口腔内異物刺創に対する各種画像診断の有用性の検討.小児口腔外科,10:82-87,2000
  3. 村瀬 悟:穿通性脳損傷4例の検討.県立岐阜病院年報,15:43–49,1994.

プロフィール

濱名輝彦(Teruhiko Hamana)
日本医科大学付属病院 放射線科
関根鉄朗(Tetsuro Sekine)
日本医科大学付属病院 放射線科
サイドメニュー開く

TOP