画像診断Q&A

レジデントノート 2018年01月号掲載
【解答・解説】学校健診でX線写真の異常が見つかり受診した20歳代女性

ある1年目の研修医の診断

右上肺野の縦隔側に結節影を認めます.辺縁は不明瞭な部分と明瞭な部分があります.直感で,背側寄りの腫瘤と思います.

Answer

神経鞘腫

  • A1:胸部単純X線写真では右上肺野縦隔側に類円形の結節影を認める.結節の外側から下縁の辺縁は明瞭だが,上縁および内縁の辺縁は不明瞭である.
  • A2:後縦隔腫瘍が推測されるが胸部単純X線写真正面像のみでは陰影の発生部位の特定は困難なため,胸部CT撮影が必要である(解説参照).

解説

胸部単純X線写真では右上肺野縦隔側に径約25 mmの類円形の結節影を認める(図1A).結節の外側から下縁の辺縁は明瞭である(図1B)が,外側から上縁の辺縁は不明瞭(図1B),さらに内側縁は境界不明となりincomplete border signを呈している.結節に陰影が重なる上大静脈の外側縁(図1B---)は明瞭であり,すなわちシルエットサインは陰性であることから,結節は前縦隔ないし後縦隔に存在することが推測される.また,結節の内側縁が不明瞭であることからこの結節の内側は構造物に接していることが考えられる.部位的には椎体などの後縦隔構造に接する後縦隔腫瘍が推測される.しかし,胸部単純X線正面像では解剖学的位置の正確な断定は難しいため,胸部CTによる確認が必要である.

胸部造影CTでは,後縦隔の右傍脊椎から後胸壁にかけて胸腔内に突出する境界明瞭で内部が軽度造影される結節性病変を認めた(図2).CTでは胸壁に結節の辺縁がなだらかに接していて,肺内ではなく胸壁に発生した腫瘍であることが示され,発生部位と画像所見から神経鞘腫を疑った.診断および治療目的で外科切除が実施され,病理診断にて神経鞘腫の確定診断が得られた.

縦隔は,前縦隔中縦隔後縦隔に区分され,そこに発生する腫瘍は部位によりある程度の鑑別が可能である.前縦隔では胸腺腫などの胸腺上皮性腫瘍の頻度が高く,その他,奇形腫,悪性リンパ腫,胚細胞性腫瘍などがある.中縦隔では気管支原性嚢胞や食道嚢胞,悪性リンパ腫,迷走神経性由来の神経原性腫瘍もみられる.後縦隔では神経原性腫瘍の頻度が高く,その他,悪性リンパ腫や気管支原性嚢胞,食道嚢胞などの先天性嚢胞がみられる1)

*incomplete border sign:発達した大胸筋,乳房,乳頭などの辺縁の一部のみが鮮明にみられ,肺外陰影の特徴とされる.

図1
図2
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文献

  1. 松尾周也,他:縦隔腫瘍の画像診断−その病理学的背景−.病理と臨床,25:1155-1161,2007

プロフィール

大河内康実(Yasumi Okochi)
東京山手メディカルセンター 呼吸器内科
徳田 均(Hitoshi Tokuda)
東京山手メディカルセンター 呼吸器内科
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