画像診断Q&A

レジデントノート 2018年4月号掲載
【解答・解説】乾性咳嗽を主訴に来院した50歳代女性

ある1年目の研修医の診断

胸部X線写真(図1)にて左中肺野に浸潤影を認める.市中肺炎などを考え,CT撮影する必要がある.

Answer

乳癌放射線治療後の器質化肺炎

  • A1:左中肺野に浸潤影を認める.
  • A2:病歴より乳癌放射線治療後の器質化肺炎をまず疑う.CT撮影にて病変分布を確認する必要がある.

解説

胸部X線写真(図1)にて,左中肺野に浸潤影を認める().市中肺炎の可能性もあるが,既往に乳癌の放射線治療歴があり,まず第一に乳癌放射線治療後の器質化肺炎を鑑別にあげたい.CT(図2)では左上葉S3を中心に浸潤影()が広がり,気管支透亮像が明らかである.また周囲にすりガラス影()を伴っている.浸潤影が照射側に一致して非区域性に出現しており,乳癌放射線治療後の器質化肺炎と診断した.

乳癌放射線治療後の2.3%に器質化肺炎を発症したとの報告1)もあり,本疾患は決して稀な疾患ではない.自然に消退する場合があり,自覚症状を伴わない場合は,経過観察する場合もあるが,自覚症状を伴う場合は,ステロイド治療の適応である.対側肺に出現する場合や部位を変えて再発する場合もある.本症例は自覚症状を伴って発症しており,ステロイドによる治療の適応と判断し,プレドニゾロンを0.5 mg/kg/日で投与し,すみやかに自覚症状と陰影の改善を得た(図3).その後2週間ごとに-5 mgずつ減量とし中止した.ステロイド中止後も再燃なく経過している.

乳癌患者は増加傾向にあり,本疾患に遭遇する可能性もますます増えていくものと思われる.

図1
図2
図3
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文献

  1. Katayama N, et al:Analysis of factors associated with radiation-induced bronchiolitis obliterans organizing pneumonia syndrome after breast-conserving therapy. Int J Radiat Oncol Biol Phys, 73:1049-1054, 2009

プロフィール

北村淳史(Atsushi Kitamura)
聖路加国際病院 呼吸器内科
山口哲生(Tetsuo Yamaguchi)
東京メディサイトクリニック
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