画像診断Q&A

レジデントノート 2018年11月号掲載
【解答・解説】無症状,健診胸部異常影で受診した30歳代男性

ある1年目の研修医の診断

両側肺門側優位に結節影や斑状影を認めます.無症状で,血液検査より炎症所見はなく,若年者であることから,サルコイドーシスを考え,胸部CTや気管支鏡検査を行います.

Answer

サルコイドーシス

  • A1 :両側肺門側優位に粒状影や結節影が多発している.
  • A2 :サルコイドーシスを疑い,胸部CT,眼科受診,心電図検査,気管支鏡検査を行う.

解説

本症例はサルコイドーシスの肺野病変の典型例である.多発結節影~斑状影を呈する疾患の鑑別として,転移性肺腫瘍,粟粒結核,癌性リンパ管症などがあげられるが,若年者であること,広範な陰影のわりに自覚症状がなく,炎症所見や酸素化障害がないことから,サルコイドーシスを第一に考える.

サルコイドーシスは,多臓器を侵す肉芽腫性疾患である.永らく原因不明とされてきたが,近年わが国の江石らにより,ヒトの常在菌Propionibacterium acnesに対する宿主の異常免疫応答であることが明らかにされた1).発症年齢は男女とも20~30歳代にピークがあるが,女性では50~60歳代にもピークがある.好発部位は縦隔・肺門リンパ節,肺であり,次いで眼,皮膚などがある.呼吸器病変は症状に乏しく健診で発見されることが多い.一方,眼病変は霧視・羞明などの症状で発見される場合が多い.画像所見では,胸部単純X線写真での両側肺門リンパ節腫脹(bilateral hilar lymphadenopathy:BHL)が特徴的で,肺野所見では,上中肺野優位の分布を示す微細粒状影・すりガラス影・斑状影,気管支血管束の肥厚やこれに沿うような不規則陰影など多彩な像を呈しうる.

診断は,経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy:TBLB)での乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫の証明,気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage:BAL)でのリンパ球増多とCD4/8比上昇,ぶどう膜炎など眼病変の存在によってなされる.半数以上の症例が自然寛解するが,眼病変や心病変を有する場合はステロイド投与などの治療が必要となる.

本症例の胸部単純X線写真(図1)では,両側肺門側優位に粒状影や結節影が多発している.胸部CT(図2)では,気管支血管束の肥厚が目立つほか,両肺に微細な粒状影を認める.その粒状影は葉間胸膜や静脈上にも存在し,リンパ路分布(lymphatics distribution)を呈しており,サルコイドーシスや癌性リンパ管症などリンパ増殖性疾患を考えるべき所見である.TBLBにて乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認め,BALでは細胞数4.0×105 /mL(リンパ球25%,CD4/8比5.68)とリンパ球増多,CD4/8比上昇を認めた.さらに眼科診察にてぶどう膜炎も認めたため,サルコイドーシスと診断確定した.心電図検査では心病変を疑うような伝導障害や不整脈を認めず,無治療経過観察の方針とした.血液検査ではACE高値に加え,可溶性IL-2Rも高値であった.サルコイドーシスではACE高値と並んで可溶性IL-2R高値も特徴的な検査所見の1つとされている.

図1
図2
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文献

  1. 江石義信:アレルギー性内因性感染症としてのサルコイドーシスの病因論. 呼吸器内科, 24:261-270, 2013

プロフィール

笠井昭吾(Shogo Kasai)
東京山手メディカルセンター 総合内科,地域診療・救急部門
徳田 均(Hitoshi Tokuda)
東京山手メディカルセンター 呼吸器内科
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