画像診断Q&A

レジデントノート 2018年12月号掲載
【解答・解説】湿性咳嗽を主訴とした30歳代男性

Answer

慢性進行性肺アスペルギルス症の1例

  • A1 :右上肺野に壁の肥厚した空洞影がみられる(図1).胸部CT写真では右上葉に空洞影がみられ,空洞壁は肥厚している(図2).
  • A2 :抗酸菌を含めた喀痰培養検査を行う.診断がつかない場合には気管支鏡検査を行う.結核菌,非結核性抗酸菌,アスペルギルスなどの血清抗体を検査する.
  • A3 :抗真菌薬,手術により治療する.

解説

肺アスペルギルス症はその病態から慢性型,急性型,アレルギー型に大別される.慢性型は肺の器質的病変にアスペルギルスが腐生することにより生じる.深在性真菌症の診断・治療ガイドラインでは慢性型は単純性肺アスペルギローマ(simple pulmonary aspergilloma:SPA)と慢性進行性肺アスペルギルス症(chronic progressive pulmonary aspergillosis:CPPA)に分けられている1).原則として1個の空洞に真菌球を呈するものをSPA,それ以外をCPPAとする.

CPPAは肺に複数の空洞が存在し,病理学的に組織侵襲を認めず,経過の遅い慢性空洞性肺アスペルギルス症(chronic cavitary pulmonary aspergillosis:CCPA)と,肺に結節やコンソリデーションが存在し,病理学的に組織侵襲を認め,経過が比較的早い慢性壊死性肺アスペルギルス症(chronic necrotizing pulmonary aspergillosis:CNPA)を包括する概念である2).CCPAとCNPAは臨床的に鑑別することが困難であり,治療に関しても明確な差異がないため,CPPAとして包括して議論されることが多い.

CPPAは肺の基礎疾患を有する患者で緩徐に進行し,増悪と寛解をくり返す.肺の基礎疾患を有する患者で1カ月以上続く呼吸器症状を呈し,画像所見の増悪,炎症性マーカーの上昇を認め,抗菌薬に反応しない場合本症を疑う.

CPPAは抗アスペルギルス沈降抗体検査で陽性あるいは,病理学的にアスペルギルス症と診断された場合は臨床診断例となり,培養検査が陽性となれば確定診断となる.本症例では抗アスペルギルス沈降抗体検査が陽性となり,臨床診断した.

治療は可能であれば外科的切除が第一選択,高齢や低肺機能のため手術が難しい場合には抗真菌薬投与を行う.本症例はミカファンギン,イトラコナゾールを併用し,炎症性マーカー,画像所見の改善がみられた.肺の基礎疾患として肺尖部のブラがあり,その他の肺実質は正常であると考えられ,呼吸機能検査で肺機能が正常であったため,右上葉切除を他院で行った.術後経過は良好である.

図1
図2
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文献

  1. 「深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2014 小児領域改訂版」(深在性真菌症のガイドライン作成委員会/編),協和企画,2016
  2. Walsh TJ, et al:Treatment of aspergillosis:clinical practice guidelines of the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis, 46:327-360, 2008

プロフィール

芳賀高浩(Takahiro Haga)
関東労災病院 精神科
山口哲生(Tetsuo Yamaguchi)
新宿海上ビル診療所
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