画像診断Q&A

レジデントノート 2019年1月号掲載
【解答・解説】呼吸困難で受診した40歳代女性

ある1年目の研修医の診断

喉頭浮腫を認めますので,気道確保が必要です.

Answer

急性喉頭蓋炎

  • A1:喉頭蓋,披裂喉頭蓋ヒダ,喉頭披裂部,仮声帯に腫脹を認め,内腔の狭小化も認める(図1).診断名は急性喉頭蓋炎である.
  • A2:気道確保を行う.

解説

急性喉頭蓋炎は喉頭蓋の強い炎症と腫脹をきたす感染症である.起因菌としてインフルエンザ桿菌,レンサ球菌,黄色ブドウ球菌,カンジダなどが知られている.かつては小児に好発する疾患といわれていたが,35~39歳に発症ピークがあり,成人の発症率は小児の2.5倍といわれている.小児での発症が減少している背景にはヒブワクチンの普及が考えられる.発症率は年間10万人に1人と稀ではあるが,致死率は1.2~7.1%と重篤である.危険因子として喫煙,喉頭蓋嚢胞,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive respiratory disease:COPD),後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome:AIDS)などの免疫不全状態が知られている1)

リンパ組織が豊富な喉頭蓋の舌面に炎症反応を起こしやすいが,喉頭面に炎症が及ぶこともある.喉頭蓋舌面に腫脹が限局するⅠ期,喉頭蓋喉頭面に腫脹が及ぶⅡ期,披裂喉頭蓋ヒダ,喉頭披裂部,仮声帯に炎症が進展するⅢ期に病期分類されている2).症状は病期と関連づけると理解しやすい.軽い上気道炎症状に続発する咽頭痛が最も多く,嚥下痛を伴うこともあるが,声帯に炎症が及ぶと嗄声が生じ,最終的には呼吸困難に至る3).通常,呼吸困難は初発症状から2〜3日後に認めることが多いが,急速に進行して数時間で窒息する場合もある4).本症例では緊急気管切開術が行われ,その後の喉頭内視鏡検査で声門が確認できないほどの喉頭腫脹を認めた.

診断には喉頭内視鏡により喉頭蓋を直接確認することが必要であるが,耳鼻咽喉科医でなければ施行困難であり,夜間の救急診療では画像検査が用いられることも少なくない.頸部側面X線写真では腫大した喉頭蓋を反映したthump print signが特徴的である1,3)(本症例ではX線写真は撮影されていないため,CT画像から作成したレイサム画像を提示,図2).CTは炎症の範囲を把握するのに役立つが,仰臥位にした際に窒息を招くことがあるため慎重に適応を見定めなくてはならない3).嗄声や呼吸困難を訴える場合はもちろん,咽頭痛を説明しうる咽頭所見に乏しい場合は本疾患を鑑別診断に考慮し,画像検査や喉頭内視鏡および気道確保の適応を考える必要がある.

図1
図2
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文献

  1. Westerhuis B, et al:Acute epiglottitis in adults:an under-recognized and life-threatening condition. S D Med, 66:309-311, 313, 2013
  2. 菊池正弘,西田吉直:急性喉頭蓋炎の病期分類.Monthly Book ENTONI,40:20-24,2004
  3. 黒野祐一:日常臨床に潜む怖い耳鼻咽喉科疾患―急速に進行し窒息に至る急性喉頭蓋炎の臨床―.臨牀と研究.94:129-133,2017
  4. 新里祐一,他:発症後8時間後に窒息に至った急性喉頭蓋炎の1例.耳鼻と臨床,62:171-175,2016

プロフィール

井上明星(Akitoshi Inoue)
東近江総合医療センター 放射線科
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