画像診断Q&A

レジデントノート 2019年9月号掲載
【解答・解説】右季肋部痛と発熱で来院した70歳代男性

ある1年目の研修医の診断

画像左上にあるのは胆嚢だと思うんですが,ガスが多くて消化管のようにみえます.

Answer

気腫性胆嚢炎

  • A1:胆嚢が腫大,内腔および壁内にガスを認める(図1図3).
  • A2:気腫性胆嚢炎.

解説

急性胆嚢炎は急性腹症の原因疾患としてcommonな疾患であるが,気腫性胆嚢炎はそのなかでも重篤な特殊型である.Clostridium perfringensなどの起炎菌が感染し,内腔および壁内にガスが生じることが主な病態である.死亡率は2割前後と予後不良で,特に糖尿病患者に発症しやすい.

通常の急性胆嚢炎は胆石が原因となる場合が多いが,本疾患では胆石を伴わない症例がしばしばある.CTでは内腔や壁内にガスを認めることが診断への鍵で,これに気づけば診断は容易である(図13).しかしCTでは一見すると腸管のようにみえてしまうこともあるため,丁寧な読影がいつも必要である.破綻しつつある胆嚢壁から,一部のガスが漏れ,腹腔内遊離ガス(free air)を認める場合もある(図2).気腫性胆嚢炎は,周囲や壁内にガスが存在すると,超音波検査ではその強いアーチファクトにより胆嚢が明瞭に描出されず,診断に迷うときがある.腹部単純X線写真では,上腹部に腸管ガスとは呼べない特徴的なガス像が確認され,これも診断の一助となることがある(図4).これらの画像所見と身体所見などをあわせた総合的な評価が正しい診断への近道となる.全身状態が悪い場合もあるが,可能ならば治療は開腹手術が推奨される.

なお,ファーター乳頭切開後などでガスが十二指腸から胆道に容易に逆流する状態では,胆嚢内腔にガスが認められることがある.この場合は,胆嚢壁内にガスがみられることはまずなく,画像的な鑑別点となる.

腹部の画像診断のなかで,「気腫性◯◯◯」という名前をもつ疾患は,本症例のほか,気腫性腎盂腎炎や気腫性膀胱炎などがあり,本コーナーでも過去にとり上げられている(2018年5月号,7月号など).いずれも致死的な予後となりうる疾患であり,正確な診断と慎重なマネジメントが求められる.腹部CTを読影する際,まとまったガスをみると無意識のうちに「消化管」と思いがちであるが,少し立ち止まって,いつも丁寧な読影を心がけたい.

図1
図2
図3
図4
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プロフィール

山内哲司(Satoshi Yamauchi)
奈良県立医科大学 放射線科・総合画像診断センター
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