画像診断Q&A

レジデントノート 2019年10月号掲載
【解答・解説】胸部異常影で来院した50歳代女性

Answer

Birt-Hogg-Dubé症候群の1例

  • A1:X線写真では,左下肺野に心陰影と横隔膜に接して比較的大きな嚢胞がみられる(図1).胸部単純CT写真では,両側肺の下葉優位に不整形の大きな嚢胞が多発している(図2).
  • A2:可能であれば胸腔鏡下肺生検を行う.また,腹部CTによる腎腫瘍の検索,および遺伝子解析を行う.
  • A3:経過観察し,気胸が再発するようであれば胸腔鏡下手術を行う.

解説

Birt-Hogg-Dubé症候群(BHD症候群)は,「顔面頭頸部皮疹」・「腎腫瘍」・「多発性肺嚢胞と自然気胸」を3主徴とする,比較的まれな常染色体優性遺伝性疾患である1)発症率や有病率はいまだ不明であるが,BHD症候群による自然気胸の初発年齢は20歳から40歳までが多いとされ,原発性自然気胸の初発年齢と一致する.よって本邦では,本疾患に対する認識の低さのため,原発性自然気胸とされている未診断例も多いと予想される.2001年,責任遺伝子が17番染色体短腕(17p11.2)に同定され,フォリクリン(folliculin:FLCN)遺伝子と名づけられた.

多発性肺嚢胞をみた際,COPD,間質性肺炎,リンパ脈管筋腫症やランゲルハンス細胞組織球症などが鑑別にあがるが,本症例では嚢胞壁が薄く平滑であり,喫煙歴がなかったことから,BHD症候群を疑った.腹部CTでは腎腫瘍はみられなかった.研究機関でFLCN遺伝子解析を施行したところ,exon11にシトシンの挿入が確認された.

BHD症候群の確定診断には遺伝子解析が必要であるが,胸部画像上,BHD症候群における肺嚢胞は,その壁は薄いものの視覚的に確認可能であり,平滑であるという特徴が報告されている2).全肺にみられるが,特に肺底部や胸膜直下に比較的大きな嚢胞が形成されることが多い.本症例は臨床上,多発性肺嚢胞と自然気胸のみを呈しており,顔面頭頸部皮疹や腎腫瘍は認めなかった.

自然気胸の基礎疾患としてBHD症候群は念頭に置くべき疾患である.

図1
図2
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文献

  1. Toro JR, et al:Lung cysts, spontaneous pneumothorax, and genetic associations in 89 families with Birt-Hogg-Dubé syndrome. Am J Respir Crit Care Med, 175:1044-1053, 2007
  2. Ayo DS, et al:Cystic lung disease in Birt-Hogg-Dube syndrome. Chest, 132:679-684, 2007

プロフィール

芳賀高浩(Takahiro Haga)
関東労災病院 精神科
山口哲生(Tetsuo Yamaguchi)
新宿つるかめクリニック
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