画像診断Q&A

レジデントノート 2020年1月号掲載
【解答・解説】発熱,咳嗽,悪寒にて受診した40歳代男性

ある1年目の研修医の診断

両側下肺野に浸潤影を認めます.酸素化障害を伴う市中肺炎と考え,喀痰検査や尿中抗原検査,血液培養検査を行います.

Answer

肺炎球菌性肺炎の1例

  • A1:両側中下肺野に浸潤影(図1)を認める.
  • A2:市中肺炎,特に肺炎球菌性肺炎やレジオネラ肺炎を考え,喀痰検査や尿中抗原検査,血液培養検査を行う.レジオネラ肺炎との鑑別のために胸部CT検査で陰影の詳細(図2)を確認する.

解説

本症例は急性の経過や酸素化障害,両側性の浸潤影を認める画像所見から,肺炎球菌性肺炎を第一に疑うが,レジオネラ肺炎などの異型肺炎の鑑別も行う.

肺炎球菌性肺炎は,市中肺炎の20~35%(外来例の12~22%,入院例の23~38%)を占める.これは市中肺炎のなかで最多であり,死亡者が多い.インフルエンザ罹患後に続発する肺炎としても,28~48%と最多である.そのため酸素化障害を伴う市中肺炎を診たら,第一に肺炎球菌性肺炎であるかどうかを考える.また頻度は低いが,レジオネラ肺炎も忘れてはならない.肺炎球菌性肺炎は良質な喀痰を採取・塗抹鏡検して,グラム陽性双球菌を有意に認めればほぼ確定診断できる.喀痰が採取できない場合は,肺炎球菌尿中抗原検査を代用してもよい.画像所見は,浸潤影が肺葉(区域)全体に及ぶ大葉性肺炎像が古典的な特徴とされてきたが,近年は少なく,代わって気管支肺炎像を呈することが多くなってきた.発症のリスクファクターとして,高齢者,糖尿病,慢性閉塞性肺疾患,脾摘後,免疫不全などがあり,施設入所中もリスクファクターの1つである.治療は,外来患者には多めのアモキシシリン内服,入院患者ではペニシリン系抗菌薬の点滴静注を用いる.ペニシリンアレルギーがあればセフトリアキソンを用いる.

本症例の胸部単純X線写真(図1)では,両側中下肺野に浸潤影を認める.胸部CT(図2)では,両下葉気管支周囲に浸潤影を,その周囲にはすりガラス陰影を認め,その分布は気管支肺炎のパターンである.喀痰は採取できなかったが,肺炎球菌尿中抗原が陽性だったため診断確定となった.またレジオネラ尿中抗原は陰性であった.肺炎の重症度分類ではA-DROPスコア0点で軽症だったため外来治療を選択,アモキシシリン内服にて改善が得られた.

なお本症例では血液培養は陰性であったが,肺炎球菌が髄液または血液から検出された場合は,侵襲性肺炎球菌感染症と診断される.これは感染症法の5類感染症に分類されるため,診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に届け出る必要がある.

図1
図2
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プロフィール

笠井昭吾(Shogo Kasai)
東京山手メディカルセンター 総合診療科・救急科
徳田 均(Hitoshi Tokuda)
東京山手メディカルセンター 呼吸器内科
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