画像診断Q&A

レジデントノート 2020年2月号掲載
【解答・解説】長引く乾性咳嗽,労作時呼吸困難を主訴とした50歳代男性

Answer

間質性肺炎先行関節リウマチの1例

  • A1:両側下肺野を中心として網状影がみられ,特に左下肺野優位である(図1).胸部CT像では両側肺の下葉優位に網状影がみられ,特に左下葉では牽引性の気管支拡張も目立つ(図2).
  • A2:基礎疾患を検索するために抗核抗体やANCAを含む自己抗体の検索を行い,膠原病専門医に診察を依頼する.また,鳥との接触歴を含めた吸入抗原に関する生活歴を詳細に聴取する.
  • A3:症状,酸素化障害,肺機能,炎症反応について注意深く観察を行う.悪化傾向が認められた場合,ステロイド治療を含めた免疫抑制薬による治療を行う.

解説

本症例は,身体診察,胸部画像所見,血液検査所見から間質性肺炎を疑い,原因として,粉塵や抗原吸入,薬剤,膠原病や血管炎などの全身性疾患を鑑別にあげた.

初診時の検索では間質性肺炎の原因となりうる粉塵や抗原吸入を疑う生活歴は聴取されず,内服薬もなく,膠原病や血管炎は各種自己抗体や膠原病専門医による診察にて否定的であった.さらなる精査のために気管支鏡や肺生検検査を提案したが希望されず,特発性間質性肺炎(原因不明の間質性肺炎)と暫定診断した.抗線維化薬による治療は希望しなかったため,外来で経過観察としたところ,初診から1年後に両側手関節の腫脹,朝のこわばりを自覚した.リウマトイド因子187 IU/mL,抗CCP抗体300 U/mL以上(初診時の抗CCP抗体3.2 U/mL)と強陽性であり,膠原病専門医の診察を受け,関節リウマチと診断された.

本症例では胸部CTにおいて気管支拡張も目立った.関節リウマチ患者における気管支拡張は画像所見のみでは現病によるものと非結核性抗酸菌症などの感染症の修飾によるものの鑑別が困難であり,喀痰培養,血清抗体などを駆使して多角的に評価すべきであるとされている1)本症例は上記検査で感染症の修飾を示唆する所見を認めず,気管支拡張は現病によるもの,あるいは周囲の間質性肺炎による牽引性気管支拡張と考えている.

活動性の間質性肺炎を合併した関節リウマチのため,プレドニゾロン,アザチオプリンの投与を開始したが,徐々に間質性肺炎は進行し,初診から3年後に在宅酸素療法を導入した.

本症例は間質性肺炎先行関節リウマチと考えられた.間質性肺炎が先行発症し,後に膠原病と診断されるいわゆる間質性肺炎先行膠原病も稀ならず存在し,特に多発性筋炎・皮膚筋炎では1/3の症例が間質性肺炎先行型であるとされている2)

関節リウマチに関してはその10%程度において,間質性肺炎が関節リウマチの診断に先行して発症していたとする報告もある3)

特発性間質性肺炎と診断されている患者でも,経過中に関節リウマチやその他の膠原病を合併しうることを常に考慮していくことが重要である.

図1
図2
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文献

  1. 徳田 均:リウマチの肺合併症,特に気道病変の臨床的意義とその画像診断.「特集 リウマチ肺合併症の変遷と画像診断医の役割」,臨床放射線,60:1085-1096,2015
  2. Wiedemann HP & Matthay RA:Pulmonary manifestations of the collagen vascular diseases. Clin Chest Med, 10:677-722, 1989
  3. Mori S, et al:A simultaneous onset of organizing pneumonia and rheumatoid arthritis, along with a review of the literature. Mod Rheumatol, 18:60-66, 2008

プロフィール

芳賀高浩(Takahiro Haga)
関東労災病院 精神科
山口哲生(Tetsuo Yamaguchi)
新宿つるかめクリニック
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