画像診断Q&A

レジデントノート 2020年4月号掲載
【解答・解説】心窩部および右下腹部痛で受診した20歳代の妊婦

ある1年目の研修医の診断

まさに虫垂炎を疑う病歴ですが,CTしか見たことなくて.虫垂はどこに映っているんでしょうか.

Answer

急性虫垂炎

  • A1:腫大した虫垂(図123)が確認でき,根部には糞石と思われる無信号域(図2)が認められる.肥厚した壁は拡散強調像で高信号を示す.

解説

今年度初回は急性腹症の定番中の定番,急性虫垂炎を取り上げた.非常にありふれた疾患で,国家試験にも頻出,おそらく読者にも発症したことがある人もいるだろう(私も中学生のときに経験した).

さまざまな教科書において,急性虫垂炎の画像診断は超音波やCTが基本となっているはずである.CTでは虫垂の腫大,周囲の脂肪織混濁,糞石の存在などが確認できる.ただCTは被曝があるため,特に本例のように妊婦の場合や若年者の際にはCTを回避し,MRIを撮影することも考慮すべきである.

妊婦の場合,大きくなった子宮によって虫垂が移動し,有名なMcBurney点の痛みとして認められない場合がある.本症例でも少し頭側に移動している.MRIでは冠状断で広く撮影し,まず上行結腸や盲腸の位置を同定する.その後,T2強調像,T1強調像,脂肪抑制T2強調像の軸位断像を中心に撮影し,腫大虫垂が同定できれば矢状断像や拡散強調像を追加する.虫垂炎の際の腫大虫垂内腔にはガス像(MRIでは無信号となる)は認められず,おおよそT2強調像高信号を示す液体で満たされている.これは膿汁であり,壁を含めて拡散強調像では高信号を示し,診断の手がかりになる.CTで高濃度として認められる糞石は,MRIでは無信号として認められることが多い.

諸外国と異なり,本邦では臨床研修病院では時間外などでもMRIが撮影できる施設が増えてきている.単純MRIでの感度・特異度は単純CTを上回るという報告も相次いでおり,今後はMRIが推奨されるようになる可能性もありうるため,今回は単純MRIでの提示とした.初期研修医1年目の先生方には難しいかもしれないが,これからの2年間でぜひ習得してほしい.

なお誌面の関係で虫垂の描出がきれいなスライスのみの提示になっている.実際の現場では「虫垂の同定」が最も難しい.ぜひ羊土社HPにアクセスして連続画像から勉強していただきたい.

図1
図2
図3
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プロフィール

山内哲司(Satoshi Yamauchi)
奈良県立医科大学 放射線科・総合画像診断センター
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