画像診断Q&A

レジデントノート 2020年5月号掲載
【解答・解説】頸部違和感を主訴に受診した80歳代女性

ある1年目の研修医の診断

食道に何かあるように見えます.白いし,魚の骨とかでしょうか.でも四角いですよね?

Answer

PTP誤飲

  • A1:頸部食道内にシート状の四角い高濃度域がみられる(図12).中央には穴が空いていて,そこに空気が貯留しているようである.
  • A2:PTPの誤飲.

解説

press through package(PTP)という言葉を聞いたことはあるだろうか.半世紀前に登場した錠剤やカプセル剤の包装形態であり,現在も世界中で広く使用されている(図3).まさか飲み込めるようなものじゃないと思われるかもしれないが,高齢者の多剤服用や視力の低下などが原因でしばしばみられる.そのため,最近の調剤薬局などではPTPからあらかじめ外しておいて一包化することも多くなっている.

PTPは角が鋭利で,消化管穿孔や穿通,出血などの原因となりうる.誤飲されたPTPの多くは咽頭や食道,胃で認められることが多く,内視鏡を用いて除去される.しかしPTPを誤飲するような患者の場合,誤飲をくり返している可能性も十分に考慮し,CTなどで消化管を広範囲に確認することも必要となる(実際に小腸や大腸で別のPTPが発見されるケースもある).

画像診断では単純CTが一般的に用いられる.本症例のようにシートの部分が高濃度を示すもの(図1)もあるが,シートの部分がCTでは全く映らないものもたくさん流通していることを強調しておきたい.中央部で認められる空気を溜め込んだドームのような構造は,特に食道で発見されるPTPではしばしば認められる所見であるため,window条件を調整するなどして徹底的に検索することが重要である.また穿孔や穿通を疑う所見として,PTP近傍の消化管の浮腫性壁肥厚や周囲脂肪織混濁,free airなどがあげられるため,あわせて画像で確認することが大切である.

レジデントノート2017年9月号の本コーナーでは薬剤が内部に残った状態でのPTP誤飲の症例が提示されている.現在でもインターネットから無料で閲覧可能であるので,必ず確認して,本症例とあわせて1つの疾患としてぜひ学習してほしい1)

図1
図2
図3
  • 画像はクリック/タップで拡大します

参考文献

  1. 今井祥吾, 他:“ある物”を誤飲したとして来院した80歳代女性. レジデントノート, 1547-1548, 2017

プロフィール

山内哲司(Satoshi Yamauchi)
奈良県立医科大学 放射線科・総合画像診断センター
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