画像診断Q&A

レジデントノート 2021年6月号掲載
【解答・解説】上腹部痛を訴える70歳代女性

ある1年目の研修医の診断

血液検査でも胆管炎を疑いたいし,胆道が全体に拡張しているので胆管炎がありそうですが,原因ははっきりわかりませんね.

Answer

総胆管結石症,急性胆管炎

  • A1:肝内胆管(図1A▶︎)および総胆管(図1C▶︎)が拡張し,肝実質は全体に不均一に濃染している.下部総胆管内には結石と思われる高濃度域が認められる(造影CTでははっきりしないが).
  • A2:総胆管結石症,急性胆管炎.

解説

総胆管結石症・急性胆管炎はとてもcommonな疾患で,研修医2年目の読者であれば実際に経験したことがある人も多いだろう.下部胆管閉塞に伴って,内腔に胆汁が停滞し,胆管内に細菌感染をきたす病態を指す.見慣れた疾患ではあるが,治療介入が遅れると致死的となりえるため,画像も含めた早期診断が重要である.今回は,この画像診断において知っておくべきピットフォールが存在するため,取り上げることにした.

はじめにCTでの総胆管の探し方だ.まず膵頭部や十二指腸下行脚を同定し,膵頭部から頭側に連続するやや低吸収な管状の構造を見つけるという方法が一般的かと思われるが,自分自身に合う総胆管の同定方法を身につけていただきたい.ここで必ず左右の肝内胆管からVater乳頭部まで丁寧に観察することを忘れてはならない.普段からトレーニングして正常な総胆管(径7 mm程度以下)に見慣れることが大切であるが,胆管炎の場合には,総胆管がおおよそ10 mm以上に拡張し,胆管壁は肥厚し造影CTで濃染が目立つ.また造影早期相(動脈相)では拡張した肝内胆管の周囲を中心とした肝実質に,炎症を反映した動脈血流増加(早期相での濃染)が認められる.なお,胆嚢摘出後には生理的に総胆管や肝内胆管が拡張気味になっていることが多いため,総胆管の拡張のみで胆管炎と診断してはならないことも知っておきたい.

次に総胆管結石の同定である.総胆管結石の6割がビリルビン石で,残りがコレステロール石と考えられているが,総胆管結石のなかで,CTで均一に高濃度に描出されるのはわずか20%といわれている.30%は胆汁と等濃度でCTでは全く認識できないとされる.そして,この高濃度の結石でも造影CTでは周囲の組織が造影され高濃度を呈することで,もともと高濃度であった結石とのコントラストがなくなり,見えなくなってしまうことがあるため,必ず単純CTで探索することが重要である.単純CTよりも造影CTのほうが格段に情報が増えるという実感を持っている読者も多いかと思うが,ここが本疾患の診断におけるピットフォールとなりうるのだ.過去にもこのコーナーで単純CTの重要性を何度か強調してきたが,これからも注意深く読影してほしい.

なお本疾患の診断ではCTに限らず,エコーやMRIも有用である.研修病院の環境や自身の読影スキル,エコースキルにあわせて的確に使い分けることができれば診断能は一気に向上するだろう.これらについても普段から心がけてトレーニングし,見慣れておくことが望ましい.

図1
図1
図2
  • 画像はクリック/タップで拡大します

プロフィール

山内哲司(Satoshi Yamauchi)
奈良県立医科大学 放射線科・総合画像診断センター
サイドメニュー開く

TOP