亀田総合病院(レジデントノート Vol.3 No.3掲載)
病院・医局紹介

亀田総合病院

太平洋を眼下に望む千葉県南房総鴨川市にあり,この地域の基幹病院としての役割をもつ. 日本では珍しい,入院病棟機能(亀田総合病院)と外来機能(亀田クリニック)の分離型システムをとり入れている. また,早くから研修医教育に力を入れていることや,電子カルテの早期導入でも有名である. 近年ではISO9001認証を取得するなど,常に新しい試みを行っている.

診療科:内/小児/外/整形/形成/脳外/皮/泌/産/眼/耳鼻/心外/放/精神/麻/救命救急/リハビリ/歯/その他
病床数:784床
初期研修中の医師数(2001年度):1年次:10名,2年次:11名

亀田総合病院

〒296-8602
千葉県鴨川市東町929番地
TEL 0470-92-2211(代)
e-mail Ishiken at kameda.or.jp

病院の紹介

亀田総合病院,亀田クリニックを中心とする亀田メディカルセンターの特徴としては,第1に田舎にあることです.東京都心にある病院とは違い,人口3万人という田舎にありながら,高度な医療を提供しています.この地域の基幹病院となっていて,外来にも1日約2,500人が訪れる大規模なメディカルセンターです.また,第三次救命救急センターの指定を受けています.

第2には,病院とクリニックの分離型システムがあげられます.アメリカではよくあるのですが,日本では珍しいものです.

第3には,ハード面で電子カルテが有名だと思います.当初日本IBMと共同開発しましたが,その後,当院独自の開発により,非常に先進的なシステムとして注目されております.

卒後教育委員長の西野洋先生
卒後教育委員長の西野洋先生

ほかにも,副院長の1人にアメリカ人の病院管理の専門家を迎えていることや,レジデント教育を比較的早期からやっていることもあげられますね.それから,大規模病院としてはおそらく日本では初めてだと思いますが,昨年ISO9001を取得しました.

このように当院の特徴はたくさんあります.理事長,院長が「良い医療を行う」ために,次々に新しいことを思いつき,提案されますので,私たちも必死についていくような感じです(笑).

また,立地環境がとても良いですよね.私は大変気に入っています.太平洋を見ながらの通勤で,ラッシュもありません.若い先生では,出勤前にサーフィンをして,帰りにもまたサーフィンをして,という方もいらっしゃいますよ(笑).

医療を受けられる患者さまにも,提供するわれわれにとっても,大変良い環境だと思います.


臨床研修の概要

アメリカのレジデンシーをとり入れた研修

アメリカ型がすべてではないですし,それだけにこだわっているわけではありませんが,卒後教育の充実しているアメリカの方法をとり入れています.1986年に発足した卒後教育委員会で,アメリカで卒後教育を経験された先生が中心となってプログラムを考え始められました.しかし,アメリカ教育の良さを医師らが理解し,また実践していくのはなかなか難しい.それではいっそのこと,アメリカ人医師を連れてきてはどうか,という院長の発想から,1994年より,常勤スタッフとしてアメリカ人医師をおくことになりました.常勤でこのような教育スタッフがいるのは,日本では当院だけでしょう.

もうひとつ,当院の研修プログラムでは,希望者には1~2カ月間の海外研修が可能となっています.やはり,アメリカなどでは教育システムや医師らの熱意が全然違うといって,非常に影響を受けて帰ってきますね.

研修プログラムの例

ただし,先にも言いましたが,アメリカにこだわっているわけではなく,あくまでも「良い医療を行う」意志をはぐくむことが目的なのです.広く,グローバルな視野をもてる,良き医師になって欲しいのです.

スーパーローテート方式

「初期研修1~2年目はスーパーローテート方式で研修を行います.1年目は必須カリキュラムで内科,麻酔科,小児科を研修します.2年目は外科,循環器内科,救急を研修し,残りの期間は選択となります.この選択期間は全く本人の自由で,外科がやりたい人,精神科がやりたい人,海外に行きたい人,それぞれの希望を聞いて,受け入れています.初期研修では,いろいろな科で,いろいろな大学から来られた医師と交わり,多くの経験を積んでもらいたいと考えます.

家庭医診療科

家庭医診療科があるのも当院の特徴だといえるでしょう.家庭医研修プログラムが昨年スタートしました.初期研修のカリキュラムとは別枠で,4年間のプログラムとなっています.卒後1年目の人は,初期研修と並行して研修を行います。家庭医を志す方ならば,卒後何年目であっても研修できます.

BLS,ACLSプログラム

研修中の特別プログラムとして,BLS,ACLSプログラムの参加が義務づけられています.当院のスタッフがインストラクターを務め,救急蘇生のスタンダードを学びます.

初期研修後の進路

大学に帰られたり,ほかの病院に勤務されたりする人もいますが,3年目以降もここで引き続き後期研修をすることもできます.内科総合医を目標とするローテーションプログラム,内科系・外科系subspecialty専門医を目標とするストレートプログラムを用意しています.院外への公募も行っていますので,他の病院で初期研修をされた方でも,当院で後期研修を受けることができます.

良い医師を養成するためのレジデント教育にはハード面だけでなく,ソフト面が非常に大切だと思います.私は今年の2月から卒後教育委員長になったのですが,私の使命のひとつには,教育の中身を充実させることがあります.具体的に実践してきたこととしては,「指導医によるレジデントの評価」,「レジデントによる指導医の評価」があります.加えて今年から,「Teacher of the year award(最も優れた指導医)」,また「Resident of the year award(今年最も良きレジデント)」を発表し,讚えています.教育というのは目に見えないところなので,どんなに素晴らしい仕事をしていても,評価されにくいという現実があります.これを形にして表さなければならないと考えたのです.そうすることで,教育する側も励みになり,受ける側もやる気が高まり,皆で良い教育をする雰囲気が作られていく,これを目指しています.


最後に

ここの臨床研修のスローガンをご紹介しましょう.

Challenge

新しいことに挑戦する.これは当院の歴史において,絶えずやってきたことです.電子カルテしかり,分離型病院しかり,田舎でのレジデント教育など,ですね.若い先生方にもチャレンジの精神をもって欲しいと思います.新しいことをやろうというチャレンジ,また,自分の能力をさらに高めようというチャレンジを,もっともっと素晴らしい仕事をしようという気持ちをもって欲しいです.

Global

広く,世界的な視野をもって医療に携わってほしいと思います.海外での研修を経験するのも良いでしょうし,医療援助などで活躍されるのも良いでしょう.また,海外にいかなくとも,常に広い視野で考え,医療を行うことはできるのです.

Love

これはあらゆることの根本ですね.医学の素晴らしい技術を,愛をもって生かしてほしいと思います.

当院は田舎にありますが,この田舎にいながら世界のことを考え,常にチャレンジしながら患者さまを第一に考える愛のある医療を実践しています.やる気のある方にはぜひ来ていただいて,一緒に働いてもらいたい思います.
(話し:西野洋先生)

西野先生,ルイズ先生,教育研修部の唐鎌さん,そして院内を案内していただき,取材の最初から最後までお世話になりました広報部の高木さんに,心よりお礼を申し上げます.


医師教育研修部

医師教育研修部

亀田総合病院には,医師教育のための研修棟がある.病院とは独立した形で専門施設を設け,3人の専任スタッフをおいているのは珍しい.ここでは,初期・後期・プライマリケア(家庭医)研修のプログラム作成,研修実施後のサポート,採用についての案内・受け入れ・オリエンテーション,年間行事の調整,学生の病院見学・エクスターンの受け入れ,などなど,研修に関わるあらゆる業務を行っている.牧野診療統括副院長を中心に,研修教育のハード面,ソフト面の両方から医師をサポートしている.とても心強いシステムだ.唐鎌房子係長は「1年目の先生を見て,『大丈夫かな,やっていけるかな』と思うことがあります.でも,しばらくすると顔付きも変わって,どんどん頼もしくなっていかれるのが目に見えてわかります.この病院では研修医が自分に課せられた時間を充分に研修,勉強にあてることができます.それをどう生かすかは自分次第ですし,自らやる気をもって実行に移せる人は伸びると思います」と話す.

ここでは研修医教育だけでなく,すべての医師教育に関する業務を行っている.指導医を教育するためのサポートシステム作りも重要な課題だとのこと.優れた医師教育の環境をつくる,縁の下の力持ちである.

家庭医療専門医のルイズ医師による講義風景 ⇒
ルイズ医師は医師教育研修部のスタッフである.カルテの書き方,疾患についてのトピックなど,家庭医として必要なテーマを幅広く,わかりやすく講義される(もちろん英語で).

羊土社HP会員
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