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〜あなたの研究生活をちょっとハッピーに〜

【第3回】申請書を書く ポイント②

「自己評価」(DCのフォーマットのみ)

自分を褒める文章を書くことは難しい.審査委員にとってもどのように評価したらよいのか難しい部分だ.あまり大きな目標を書いても,審査委員によっては「やる気に溢れている」ととるか,あるいは「大言壮語」ととるか,まちまちであろう.

印象に残る自己評価は,申請者ならではのエピソードやテクニックなどを書いたものだ.次の「評価書」のところの例が参考になるので,ぜひ読んでほしい.

「評価書」(指導教官が作成する)

申請者を悪く書く指導教官はいない.あるいは申請者の立場からは,自分を悪く書くような指導教官には評価書を頼まない.評価書の内容がいくらよくても,研究内容があまりよくないものは採択されないだろうが,やはりよい評価書があるに越したことはない.評価書を書く者の腕のみせどころである.

記載内容に求められているのは,申請者の研究姿勢・忍耐力,専門知識・技量,着想力・想像力,コミュニケーション能力,将来性,研究課題遂行能力,そしてわが国の学術研究の将来を担う人材となりうるかなどである.評価書作成者には未来を予見する能力が求められているようだ.

多くの評価書は当たり障りのない,申請者が誰であってもそのまま使えるような内容になりがちだ.例えば,

・ 毎日コツコツ実験を積み重ねる努力家で,忍耐強く実験を行い,優れた研究成果をあげた

・ 自分の研究分野だけでなく,他の関連分野の知識も豊富で,よく勉強している

・ 着想力や想像力が豊かで,研究チームとのコミュニケーションも良好である

・ 学業成績優秀で,将来性豊かである

このように書かれた評価書では,申請者の人物像は審査委員にはあまり印象に残らない.では,どのような評価書が印象に残るだろうか? 私はできるだけその申請者にまつわる具体的なエピソードを入れて書くようにしている.研究室(あるいは日常生活)でのできごとについて,その人物がどのように対応したのか,どのような行動をしたのか,などを書く.他のだれでもない,その申請者ならではのエピソードから,申請者の研究姿勢や能力などが浮かび上がるようにする.もちろんこのような書き方は難しいだろうが,当たり障りのない評価書よりも,はるかに印象に残ると思う.例えば,

・ 現在行っている研究を進めるために,どうしても他施設に人を派遣して,そこで実験を進めなければならなくなりました.数カ月とはいえ,遠方への移動は大変です.このような頼みにくいことに対して○○くんは「先生,ぼく行きます」と二つ返事で引き受けてくれたのです.○○くんのこの決断のおかげで研究は大いに進展しました.このようなエピソードからも○○くんの研究に対する,積極的な取り組みや,決断力,実行力などが伺えると思います

また実際に苦労した研究内容などを,例えば何回くらい実験を繰り返したかとか,論文投稿でのリバイスの回数など,具体的な数字を使って書くのも印象に残る.

・ この論文審査には4回ものリバイスと追加実験があったが,○○くんはすべての休日を返上し,忍耐強くレフリーの要求に答えた

・ 申請者は根気強く42種類もの変異体を作製し,細胞内情報伝達系の解析を網羅的に行うことで,受容体との選択的共役部位を特定した

日本学術振興会特別研究員は研究者として成長していくのに重要なステップである.将来の科研費応募への練習の意味もあるので,応募できる方はぜひトライして欲しい.

【第4回】へ続く

目指せ、学振特別研究員! 目次

本コーナーの内容は『科研費獲得の方法とコツ 改訂第5版』(2017年8月発行)から抜粋したものです.記載内容は発行時点における最新情報に基づき,正確を期するよう,最善の努力を払っております.しかし,本記事をご覧になる時点において記載内容が予告なく変更されている場合もございますのでご了承ください.

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