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※ご所属は最新インタビュー掲載時のもの
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プロテオミクス2005
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礒辺俊明(Toshiaki Isobe)
首都大学東京大学院理学研究科生物化学 |
2005年のプロテオミクスのテクノロジー開発では,技術の革新性よりも,プロテオームの動態や翻訳後修飾,分子間相互作用の解析など守備範囲を拡げるための改良が数多く行われた.
最近の研究で特に注目されることは,プロテオミクスが,転写や翻訳,輸送や分解などの細胞内装置,オルガネラの生合成・作動原理の研究,刺激に対する細胞応答を規定するシグナル伝達ネットワークの解析,さらには免疫系や脳神経系などの複雑系の研究において,新展開をもたらしていることである.
これらの点で,誕生から10年を経たプロテオミクスは成熟し,生命科学領域での足場を固めたと言ってよい.
一方,次世代の先端医療と産業を支える新技術としての期待が高まる医科学領域では,感染症研究の基礎となる病原性微生物のプロテオーム解析などで進展が見られた.しかし,公表された論文を見るかぎり,産業界からの期待が特に大きいバイオマーカー探索などでは特筆できる成果が得られたとは言えないように思われる.結果の評価に膨大な時間を要することが理由とも考えられるが,この分野には国内外から多くの期待が集まっているだけに目に見える形での成果を期待したい.
また,化合物を中心にした新しいゲノム創薬の試みである「ケミカルプロテオミクス」や,その枠組みを拡げた「ケミカルバイオロジー」の進展にも注目したい.