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※ご所属は最新インタビュー掲載時のもの
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構成的生物学で探る『ありえた生命』の可能性
子供の頃,昆虫採集と歴史と天体観察が好きでした.そして生物の授業で,生物が非常に多くの部品で構成されていることを学び,では地球の歴史の中でどのような可能性のもとに現在の生物が出来上がったのだろうか,と興味を持ちました.特に生命の起源への疑問を解くためには人工生命を作ることが必要と感じました.これが私が構成的生物学を始めたきっかけです. (中略) ●構成的生物学とは構成的生物学のアプローチではまず,生物の階層システム(アミノ酸,タンパク質,翻訳や概日周期といった細胞の部分機能,細胞)を認識します.そして各階層を形作る部品を理解し組み合わせることで,何かを構成することを手段とします.同じ組み合わせだけでなく,元とは違うシステムを作ることも可能です.そこで人工遺伝子回路や人工生命が出てくるのです. (中略) ●注目される構成的生物学構成的生物学は世界的に見てもまだ始まったばかりの分野です.日本でも分子生物学会の若手ワークショップなどでセッションがあり,少し注目されてきてはいますが,アメリカではもう非常に研究が推進されています.違いは研究費に表れていて,特に民間からの援助が大きいイメージがあります.例えば,iGEMという人工遺伝子回路の学生世界大会があり,Microsoft社の出資で行われています. 民間からの援助がある理由は,産業的な見返りが期待される分野だからです.現在の遺伝子工学の拡張として一番期待されているのは,遺伝子を多数種導入するシステムの開発です.生物の機能を活かそうとすると,1つの遺伝子よりは複数の遺伝子を導入した方が明らかに効率が良いですから.今は遺伝子を1つ導入し制御するだけでも試行錯誤の塊ですが,ではどうやったら複数の遺伝子を取り扱うことができるのか,と設計システムを作り出せるところに細胞レベルの構成的生物学の面白いところがあるのです. さらなる展開としては,人工細胞を使った薬剤治療などが考えられます.リポソームなどのDDSでも試みられていますが,大きな違いは,人工とはいえ細胞なので,情報処理が行えることです.遺伝子回路を用いて,細胞によるセンシングや動作の時空間パターンを設定できるようになります.つまり,徐放性というレベルではなく,一定周期または疾病マーカーに依存してsiRNAなど薬剤を生産・分泌する人工細胞を構築できます. (中略) ●学際的に生命の可能性を追究人工細胞を構築するためには生物学者だけではなく,様々な人のセンスが必要になります.生物学者は生命現象の解析が,工学者は各部品や組み立て手順の標準化が得意でしょう.また,色々な現象を担うシステムのデザインパターンを学ぶ情報科学も重要です.これらを統合すると,分子の挙動から社会組織の挙動までをデザインする,「ネイチャープログラミング」という共通した概念が出てくると思います.それを遺伝子回路のプログラムに当てはめることで,面白いものが作れると思います. 続きは本誌でご覧下さい バイオテクノロジー ジャーナル2007年7-8月号掲載
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