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※ご所属は最新インタビュー掲載時のもの
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科学技術振興調整費からみたライフサイエンス研究費
本年4月より第3期科学技術基本計画がスタートした.今後5年間の政府研究開発投資の総額が25兆円という規模の大きさとともに,重点推進分野と位置づけられたライフサイエンス分野における具体的方策の行方も注目を集めている.今回,ライフサイエンス研究費の面から,若手・女性研究者の支援や産学官連携に向けた取り組みに焦点を当て,科学技術振興調整費を取り仕切る文部科学省調整企画室長の室谷展寛氏に話を伺った.(編集部 蜂須賀修司) ● 今後も重点的投資が続くライフサイエンス分野―本年4月から第3期科学技術基本計画が始まりました.その中でライフサイエンス分野はどのように位置づけられていますか? 1995年に科学技術基本法が定められてから,日本の科学技術政策は「科学技術基本計画」として第1期(1996〜2000年),第2期(2001〜2005年)と進められ,いよいよ本年より新しい第3期の5年間(2006〜2010年)が始まりました.第1期は最初の計画だったこともあって,研究分野の間での重点化までは至りませんでした.ところが,第2期から分野別のプライオリティーが明確に打ち出され,ライフサイエンス,情報通信,環境,そしてナノテクノロジー・材料が「重点推進4分野」と位置づけられました.特にライフサイエンスは最重要の分野で,文部科学省の科学研究費補助金(以降,科研費)や私の担当している科学技術振興調整費(以降,振興調整費)での予算も伸びています.第2期ではゲノム科学や細胞生物学の推進を掲げ,さらに第3期の5年間では今後起こる日本社会の急激な少子高齢化に備えた創薬,診断,医療の面でライフサイエンスを最重要分野と位置づけています.ですから,ライフサイエンス分野への重点的な投資は,第3期以降も引き続きナンバーワンであり続けると思います. (中略) ● 若手人材育成と女性研究者支援の施策―若手や女性研究者などを含めたキャリアパスの問題にはどのように取り組まれていますか? 今度の科学技術基本計画の中で最も重要なテーマを挙げるとすれば,若手研究者の育成や女性研究者の支援が最上位に挙がってくると思います. 特に振興調整費では,平成18年度の新規プログラムとして「若手研究者の自立的環境整備促進」事業を立ち上げ,若手育成を支援する拠点作りを始めました.これはいわば「梁山泊」的な取り組みであり,水滸伝の梁山泊のように,お互いに切磋琢磨して世界水準の研究者を育てる場所づくりです. (中略) ● 超ロングスパンの産学官連携で目指すイノベーションの創出―産学官連携に関して,文科省の方ではどのような取り組みをされていますか? 産学官連携については,文部科学省研究振興局研究環境・産業連携課が中心的に取り組みを行っています.その他,各分野の諸事業においても産学官連携は常にキーワードとなっています.平成17年度の公募で最後になりましたが,振興調整費でも産学連携を進めるための「産学協同研究の効果的な推進」事業を行っています. これは全体で18億円(平成18年度)の予算規模で,1課題あたり年間数千万円から1億円程度支給しています.この制度は,例えばある企業とある大学の共同研究課題に対して,例えば調整費から1億円を大学側に投入し,企業側も同じだけのお金を積んで共同研究を行うという形で産学協同を進めるものです. (続きは本誌で) バイオテクノロジー ジャーナル2006年9-10月号掲載
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