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※ご所属は最新インタビュー掲載時のもの
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大学から一歩踏み出すと新しい世界が広がっている
日本では一流大学を出てもずっと大学に留まる場合がほとんどで,これは温室にいるようなものだと言えます.一方,大学から離れてベンチャーを立ち上げると,自分の頭一本で何かをやっていかなくてはいけない.大きなエネルギーが必要だけれど,ものすごいダイナミズムがあります.バイオや医学はこれまで意外に地味な分野で,化学,物理や工学と違ってノーベル賞でも取らない限り,あまり社会的なパワーがありませんでした.例えばApple社のiPodのような製品を開発して世に出すのとは,ずいぶん違いますね.そういう意味でバイオ研究者は報われなかったのですが,状況は少しずつ変わりつつあります. ● ベンチャーは,科学を楽しみ,情報を発信する手段2001年に,私は運動器疾患の治療法の開発を目指すバイオベンチャー「株式会社ロコモジェン」を立ち上げました.ロコモジェンでは「バイオテイメントR」という言葉を掲げて,バイオを楽しもう,という姿勢で研究開発に取り組んでいます.バイオ研究は,映画を作ったり小説を書くように,自分たちの想像性を存分に発揮できる非常にクリエイティブな仕事です.そして,科学をクリエイトすることは,本当にエンターテイメントだと感じています.研究ばかりやってきた人たちが,ロコモジェンの環境で成長する.そしてそれぞれがベンチャーを立ち上げ,また多くの経営者が生まれる.「ロコモジェン道場」あるいは「中島組」とでも言いましょうか.研究者の立場を変えると言えば大袈裟ですが,研究者でもパワーを持ち得て,社会にいろんなことを発信することができるのです. また,ベンチャーを始めてから本当にいろいろな方に出会うことができました.証券マン,ベンチャーキャピタリスト,ジャーナリストなど皆それぞれ素晴らしい方ばかりです.彼らは修羅場を経験されていますから話をしていて面白いですね.もちろん研究者の方々も知的で素晴らしい方が多いのですが,ほかの世界にもそういう方々がたくさんいることを実感しました. ● 研究の価値を市場に問うまた,ベンチャーでの研究開発の資金は市場から獲得していますが,研究そのものの価値を市場が判断するという意味で非常に公平な資金獲得の手段ではないかと思っています.つまり,市場がNOといえば資金が底をついてしまうわけですね.既存のヒエラルキーにはとらわれない全く別の方法で研究費を獲得する方法をわれわれバイオ研究者ももつことができたのです. また,説明義務を果たし,正しい手続きを踏んだものであれば,科研費からの100万円も市場からの100万円も,どちらも同じ100万円です.自分の研究が絶対世の中の役に立つんだという強い思いが最も重要ではないでしょうか.(談) バイオテクノロジー ジャーナル2006年3-4月号掲載
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