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※ご所属は最新インタビュー掲載時のもの
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進めるにも発表するにも,研究には戦略が大事
「ヒューマンエラー」は,僕の研究テーマの1つです.大学のときから,知能の解明は僕の研究テーマに含まれていましたが,人間はこうするときにはこう考えるという研究は多いんですよね.でも逆に,人間はこんな具合に間違えるという研究は少なかったんです.そこで考えたのが,人間のように間違える仮想人間はできないかという「ヒューマンエラー」の研究です.実現すれば,例えば物の使いやすさとか人為的ミスによる危険性をコンピュータ上で評価できて,費用も時間も大幅に節約できます. (中略) ●教えることで理解する僕は論文の書き方や研究の進め方,考え方をまとめて,それを「卒業論文の書き方」というサイトでネットに公開しています.研究室の後輩の論文指導をするために作りました.人を教えないとなかなか研究の進め方なんて明確に意識しませんからね.でも,教えるということは大事で,あることを理解しているかどうかは,それを人に教えられるかが大きいと思います. ●研究者に大事な「目立ち度」ネットに公開したのは,毎回同じことを話すのが面倒なのと,保存場所として都合いいというのもありますが,もう1つ重要なメリットがあります.検索エンジンは,よく見られるページが上に来ますが,同時にリンク先も評価が上がるんですよ.だから自分の研究紹介ページに,よく人に見られそうなページをリンクしておけば,研究紹介ページが検索で引っかかったときも上に来ます.そうすると研究者として目立つ.ネットへの公開にはそんな狙いもあります. 研究者の能力は「才能」×「実行」,それに,×「目立ち度」で決まると思うんですよ. (中略) 他に学会活動や論文で目立つような写真や話の組み立てをする方法がありますが,大きな才能を持っているけど目立たないばかりに評価されないというのはもったいないですよね. ●研究に求められる企画力実はもう1つネットに公開した動機があるんです.他人が考えなくてもいいように各自が興味のある分野で考えていくことが研究者の使命かなって思うんですね.でも今は競争が前面に出てしまって,人気ある分野に人が集中しています.確かに,みんなが集まっている分野はいい結果が出そうだし,お金も集めやすい.でもそれは果たして人類として効率がいいのでしょうか.それよりも人類全体として守備範囲を広げた方がいいと思うんですよね.理想論っぽくなりますが,それは研究の企画力をみんなが身につければできると思うんです. 続きは本誌でご覧下さい バイオテクノロジー ジャーナル2007年5-6月号掲載
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