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2006年はナノバイオの実現年となるか
〜国際情勢から見る日本のナノテクノロジー〜

落谷孝広
落谷孝広(Takahiro Ochiya)
国立がんセンター研究所がん転移研究室

2003年のナノテクノロジー研究開発法の成立以来,米国は政府支援によるThe National Nanotechnology Initiativeのもと,ナノテクノロジー戦略と世界市場の開発を強力に推進しつつある.世界の主要工業国はもちろんのこと,アジアでも熾烈な競争が繰り広げられ,中国,韓国ともに巨額の資金を投じて,この分野のトップクラス入りを目指している.

欧米から波及するナノテクノロジーの安全性評価と標準化の流れに対応が遅れてはいるものの,わが国でも2001年から科学技術基本計画や新産業創造戦略をもとに,特に日本産業の強みである「ものづくり」の力を向上させる基盤技術として,ナノテクノロジーの育成を図ってきた.ただ,今日までにおいて,ナノテクノロジーの進展から新たな製品や産業が創設されたかというと,必ずしもわれわれの眼に明らかではないのが現状だ.

しかし,ナノサイズのカプセルを用いた遺伝子治療や美容医療への応用,ナノテクノロジー材料の代表格であるフラーレンをもとにさまざまな立体形状を簡便に作出する方法が開発されるなど,製品化,産業化へと着実に歩みを進めている.

2006年は,政策体系と民間企業の積極的な取り組みにより,これまでの基礎研究の成果がナノバイオ新産業の創造へとつながっていくことを期待したい.

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