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融合領域での成功の秘訣は,互いの土俵を広げる意識と,とりあえずシュートの精神

竹内昌治
竹内昌治(Shoji Takeuchi)
東京大学生産技術研究所マイクロメカトロニクス国際研究センター 助教授

2000年東京大学大学院工学系研究科機械情報工学専攻修了.博士(工学).2000〜2001年日本学術振興会特別研究員(PD).2001〜2003年東京大学生産技術研究所講師.2003年〜現在東京大学生産技術研究所助教授.この間,2004〜2005年ハーバード大学化学科客員研究員.2005年〜現在JSTさきがけ研究者(構造機能と計測分析).

現在,私の研究室では生体組織や分子とマイクロマシンを組み合わせたハイブリッドなシステムの研究をしています. このような研究テーマができた経緯といいますと,博士課程の頃に,私は工学部にいましたが,昆虫の神経における活動電位を記録するための微小電極の研究をしていました.そこで生体と機械を融合させるアプローチを見つけ,バイオの世界に飛び込んだのです.

(中略)

そのなかで強く感じていることは,“ここからここまでは自分の専門分野”という垣根をなくし,異分野を吸収するつもりで自分の土俵を広げる意識と,最初は簡単な目標に向かって協調することが重要なんだ,ということです.

● 相互理解で始まる知の融合

新しい分野の研究は自分一人の力ではできませんから,まず仲間を探さなければいけません.そのためには,他分野の研究者に自分の研究領域へ興味を持ってもらうことが必要です.そこで私の場合はとにかく,“一緒に何かしましょう”と呼びかけるところから入ることにしています.例えば研究室間の交流会をたくさん開いて,まずは研究室同士が仲良くなるというのも1つの手ですね.そしてどこまで仲良くなるかというと,極端な話,何かとても良いアイデアがでたときに,それが深夜であっても気軽に電話できるくらいの仲になりたいですね.

● 異分野融合は研究スタイルの1つ

もちろん,研究者にはさまざまなスタイルがあります.一人でぐっと集中して成果をあげる人もいますし,大勢で大事業を成し遂げる方もいます。融合研究もそのような研究スタイルの1つだと思います.ですから,すべての研究者が融合領域の研究をすべきだとは思っていません.私は日頃から,色々な方法や考え方を組み合わせたいと思っていますので,融合領域の研究が向いているのだと感じています.工学分野から出発してバイオの世界に足を踏み入れたわけですが,今後もさらに,マイクロマシンをバックグラウンドにして,国内外問わず異分野に私たちの仲間を増やしていきたいと思っています.           (談)


バイオテクノロジー ジャーナル2006年5-6月号掲載
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