基盤研究(B)の構成案(2024.08.09更新)

執筆:久留米大学客員教授,ジーラント株式会社代表取締役児島 将康

ここにある申請書の構成案は基盤研究(B)のものである.基盤研究(B)に応募する人は,基盤研究(C)で実績を積んだとか,最近よい研究成果を発表したとか,みんな自信を持って応募する.そのため採択される申請書のレベルは正直,基盤研究(C)よりぐっと高い.そのため応募においてはいくつかの戦略が必要になる.

① まず,来年度にあなたが応募しようとする応募区分でのライバルを調べることをお勧めする.科研費データベースを使って来年3月に終了する基盤研究(B)の課題を調べて,誰がその区分に応募してくるのか予想すること.その研究者と自分の業績などを比較して,どちらの方がよい成果をあげているかを判断して応募を決断するとよい.

② また基盤研究(B)では,研究内容が広く深くなるので,研究を遂行するうえで最適な研究分担者を加えることも必要になる.

③ 基盤研究(B)の申請書は,「1 研究目的、研究方法など」のセクションが基盤研究(C)よりも1ページ多くて5ページである.その他の分量は変わらない.
基盤研究(B)の「1 研究目的、研究方法など」のスペース配分としては,以下のようにまとめるのが標準的だろう.

  • 「概要」:10±1行(基盤研究(C)と変わらず)
  • 「(1) 研究の背景、着想、「問い」を1ページ半ぐらい
  • 「(2) 研究目的、独自性、創造性」を1ページ弱
  • 「(3) 間連分野の研究動向と研究の位置づけ」を1/4ページ
  • 「(4)なにをどこまで〜」を1ページ半ぐらい
  • 「(5)本研究の準備状況」を1/4ページ
  • 「(6)国際性」を1/4ページ

基盤研究(B)とはいえ,申請書に記載する内容のポイントは基盤研究(C)と同じである.自分の研究の重要性が審査委員に伝わるようにわかりやすくしっかり書こう.

なお,2024年の公募から,フォーマットがやや変更になり,「本研究の着想に至った経緯」の位置が変わったり,「本研究がどのような国際性を有するかについて」を記載することになったりしている.ここで紹介するスペース配分には当然それらの変更を反映してあるので安心してほしい.

基盤研究(B)の申請書の構成案01 基盤研究(B)の申請書の構成案02 基盤研究(B)の申請書の構成案03 基盤研究(B)の申請書の構成案04 基盤研究(B)の申請書の構成案05 基盤研究(B)の申請書の構成案06 基盤研究(B)の申請書の構成案07

児島 将康

(久留米大学客員教授,ジーラント株式会社代表取締役)

書籍「科研費獲得の方法とコツ」「科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック」著者.毎年の科研費公募シーズン前後に20件近くの科研費セミナーで講演し,理系・文系を問わず申請書の添削指導を行っている.令和6年4月より研究者を支援するジーラント株式会社(https://g-rant.org/)を立ち上げ,活動している.

科研費に関する書籍・ウェビナーや制度の変更点など,科研費申請に役立つ情報を発信しております.
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