実験医学増刊:パンデミック時代の感染症研究〜病原体の病原性、多様性、生活環から新型コロナウイルスを取り巻く社会の動きまで
実験医学増刊 Vol.39 No.2

パンデミック時代の感染症研究

病原体の病原性、多様性、生活環から新型コロナウイルスを取り巻く社会の動きまで

  • 嘉糠洋陸/編
  • 2021年01月20日発行
  • B5判
  • 211ページ
  • ISBN 978-4-7581-0392-3
  • 定価:5,940円(本体5,400円+税)
  • 在庫:あり
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巻末鼎談

融合し加速するポスト・コロナの感染症研究

嘉糠洋陸1),忽那賢志2),宮沢孝幸3)
(東京慈恵会医科大学(熱帯医学)1),国立国際医療研究センター国際感染症センター2),京都大学ウイルス・再生医科学研究所3)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミックを起こしているなか,さまざまに行われる感染症研究も転換点を迎えようとしています.本増刊号では病原体や宿主にまつわる研究から感染症研究を取り巻く多様な話題までをカバーいたしました.その締めくくりとなる本鼎談では,ポスト・コロナ時代における感染症研究のあり方を議論いただきます.COVID-19の終息と,次なる新興・再興感染症との闘いに向けて,基礎研究・臨床研究のエキスパートにお話しいただきます.(実験医学編集部)
※本鼎談は2020年10月6日にオンライン会議システムにて収録しました

ウイルスとは何者か,どのように研究対象を決めるのか

まずは簡単な自己紹介をお願いします.

嘉糠本書の編集をしました,東京慈恵会医科大学の嘉糠です.主に蚊媒介性感染症・マダニ媒介性感染症を研究しています.仕事柄,病原体の検出を十数年やってきた経験がありましたが,今回私の所属する大学で新型コロナウイルス感染症の検査体制を構築することとなり,PCRセンターを立ち上げました(3章-4参照).感染の危険を伴うスワブの扱いはセンター長の自分が引き受け,これまでに延べ3,500検体以上,月〜土曜日の体制で行ってきました.

忽那国立国際医療研究センターの忽那です.所属する病院が特定感染症指定医療機関,すなわち新興・再興感染症,例えばエボラウイルス病やMERS(中東呼吸器症候群)の患者さんが優先的に搬送される施設で(編注:2020年11月時点で4機関10床が厚生労働大臣により指定されている),新興・再興感染症の担当をしています.第2波のホットゾーンである新宿区にありますので,流行のはじまりから終わりまで,いやまだ終わっていませんが,を目の当たりにしています.研究としてはCOVID-19の回復者の血漿を採らせていただき,それを患者さんに投与する臨床研究を今行っています.

宮沢京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢です.獣医学部出身です.最初の研究テーマはヒトT細胞白血病ウイルスのHTLV-1で,その後はネコのAIDSや白血病を研究しました.その後は,ブタからヒトへの異種移植の際に問題となるブタ内在性レトロウイルスや,最近ではニホンザルで血小板減少症を起こして致死性も強いサルレトロウイルス4型・5型に取り組んでいます.一貫するテーマは感染症ですが,一方でウイルス,特にレトロウイルスが哺乳類の進化に及ぼした影響にも興味をもっています.今はヒトの内在性レトロウイルスと胎盤の多様性の関係や,スプライシングへの影響,また爬虫類や鳥類との関係も含め研究しています.じつは恐竜の多様性の形成にも内在性レトロウイルスが関与していたのではと考えています.10月からはコロナウイルスの研究もはじめています.

上段左:宮沢孝幸,上段右:嘉糠洋陸,下段:忽那賢志

新興・再興感染症と向き合うにあたり研究分野をどう選べばよいのでしょうか.

宮沢そもそもウイルスは「濾過性病原体」として見つかりました.それゆえ,「ウイルス=病原体」という意識が強くもたれたという経緯があります.ところが実際は,病気を引き起こさないウイルスの方が多数派なのです.新興ウイルス感染症と向き合う際にも,この病気を引き起こさないウイルスが大きな鍵を握ります.野生動物や家畜,伴侶動物において全く病気を引き起こさないものが,違う宿主であるヒトに伝播して病気を引き起こす,この過程が新興ウイルス感染症のはじまりとなるからです.

よって,新興ウイルス感染症を予測したり,即時対応するためには,そのような病気を引き起こさないウイルスや,マイナーなウイルスなども幅広く研究する必要があります.このことについて,2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行時から私はずっと主張してきました.いわゆる「選択と集中」の流れでマイナーなウイルスの研究に対して研究費がつかなくなり,ヒトのコロナウイルスを研究する人も少なくなってしまった,これが今回露呈しており,大きな問題だと思います.もちろんその時点で問題になっている感染症に大きく予算を割くことは必要ですが,これから起こるものに対しても目を配って欲しいと思います.

嘉糠もし2003年にSARSの病原性がもう少し低く,そのため感染が広がりやすくなり,結果として日本に入っていたら,ウイルス研究の体制が少し今とは違い,日本版CDCのようなしくみもできていたかもしれません.2009年の新型インフルエンザのときに何かできなかったのかと思いますが……

宮沢その後デング熱も2014年に日本で流行しましたが,一過性で終わりましたよね.

忽那東京都は毎年それなりの金額を蚊の対策の予算につけていますが,研究という意味ではそうかもしれませんね.(デングウイルスが属する)フラビウイルス科自体が国内で研究しているところが少なく,ウイルス検査も国立感染症研究所がほとんどを担っています.

嘉糠それなりにイベントは起きているのですが,感染症の研究者が増えた印象はありません.なぜなのでしょうね? 病原体とそれに起因する感染症,研究対象としておもしろいことが山積みだと思うのですが.

忽那私は基礎医学の研究者というわけではないので的外れなコメントだったら恐縮ですが,感染症には流行り廃りがありますよね.特定の感染症の研究にのめり込んでしまうと,その流行が終わった後に旬から外れてしまうと懸念されることはあるのでしょうか?

宮沢そう簡単に1つのウイルスを究められないので,研究対象を変えるにはかなりの労力が必要です.流行っている感染症にその都度研究費がつくのはありがたいのですが,例えるならばベーシックインカムのように,流行り廃りに左右されずにいろいろな種類のウイルスの研究が干上がらないようなしくみがほしいですね.

嘉糠忽那先生に聞きたいのですが,若手医師の間で,感染症内科の人気はいかがですか.

忽那COVID-19で感染症内科医が増えるのか減るのか,まだ読めないですね.過去には2004年以降に何名かの医師がアメリカから帰国して臨床感染症を普及させ一時期増えたことがあります.

宮沢獣医の世界では,ワクチンプログラムで犬猫のウイルス感染症はある程度コントロールされているので,そこまでは臨床の感染症は重要視されていない印象です.

私は今回のCOVID-19で,少し目立ちすぎたかもしれませんが,もう少しウイルス研究者が表に立って闘っている姿を見せてもよかったのではと思いました.そうすれば若い研究者で興味をもつ方も増える気もします.

もし例えば高校生でウイルスや感染症の研究をやりたい,という人がいたら,どの学部に進学するのを薦めますか? 獣医学部に入り人獣共通感染症を研究の入り口にする,医学部に入り臨床の感染症内科医からリサーチクエスチョンを見つける,などいろいろなルートがあるように思います.

宮沢興味次第でしょうね.ヒトの病気に興味があるのであれば,医者になったほうが絶対にいいと思います.一方でいろいろなウイルスのことを知りたい,感染症をグローバルに見たいというのなら,多様なウイルスを扱える獣医学部,理学部,薬学部,農学部などがおもしろいと思います.

忽那私は臨床医なのであまり考えたことがありませんでしたが,昨今の新興・再興感染症はたしかに動物由来感染症が多いので,医学部以外の先生と一緒に対策を考える機会もあります.よくOne Health(3章-2参照)という言われ方をしますが,感染症を人間だけではなく動物や環境を含めて捉えるという考え方は,病原体がウイルス・細菌であるかを問わず,またヒトを診る臨床医にとっても大切な視点だと思います.

嘉糠私は獣医系大学から医科大学に移ったので異なる2つを見ているのですが,いま基礎研究と臨床研究の2つがものすごい勢いでマージしているよう感じます.少し違う例になりますが,私たちのPCRセンターでは,本来は基礎研究用のキット試薬を使って臨床検査を行う許可が国から出ました.そういったことがこれからどんどん起きるでしょう.忽那先生の行っている回復者血漿の臨床研究なんて,2〜3年前なら行えていなかったかもしれません.

そもそも免疫系は何をしているのか
―臨床からの視点

忽那先生,回復者血漿の臨床研究の過程で,そもそもCOVID-19に感染した人に抗体ができるのか,その抗体がどこまで保たれるのか,どのようなことがわかりましたか.

忽那私たちが行っている回復者血漿を用いた治療では,COVID-19から回復した方をリクルートしています.感染症のスクリーニングなど種々の検査を行ったうえで,抗体価の高かった方のなかで中和活性の基準を満たす方に献血をいただいています.最終的に4人に1人くらいの割合で献血いただいており,現時点(10月上旬)で約70人の血漿を保存しています.抗体価が高い人の傾向としては,女性より男性,重症度が高い,経過中のCRPが高い,などがあります.タイムコースに関しては,抗体価は発症から2〜3カ月をピークに下がる傾向があり,海外からも報告されています1).中和活性もおそらく同様の傾向だろうという報告も海外からあります.抗体価の推移が再感染とどこまで関係があるかはまだはっきりとわかっていませんが,少なくとも抗体価が維持される2〜3カ月後くらいに,特に重症度の高かった方から血漿を採らせていただく,というのがいいだろう.そこまでが今わかっているところです.

嘉糠回復者血漿の臨床研究は,日本ではCOVID-19に限らずかなり珍しいと思うのですが,過去には何かありましたか?

忽那記録としては残っていないと思います.ここで体制が整備できれば,SFTS(重症熱性血小板減少症候群)など他の感染症にも活かしたりできるかもと妄想しています.

嘉糠COVID-19で感染症の臨床研究のハードルが下がったようにも思えるので,臨床ウイルス学者の需要は一気に増えるでしょうね.私もPCR検査にかかわりながら患者さんの状況を目の当たりにし,基礎研究者の目線でさまざまな経験をしています.例えば,感染後のウイルスの動態は千差万別で,長いと数カ月もの間,体内から消えない場合も.長期間,ウイルスと共存している状態は驚きでした.また,ステロイド系抗炎症薬のデキサメタゾンを使うのですが,投与するとウイルス量が減ってくる.サイトカインストーム(2章-6参照)を抑えるのがこんなにも有効なのかと思う一方,免疫系そのものを抑制しているわけなので,そもそも免疫系は何をしているのだろうと不思議な気分です.

宮沢先ほど忽那先生がおっしゃった,重症化した人のほうが抗体価が高いというのは,当たり前に見えるかもしれませんが,考え方によっては,抗体価が高いことが重症化にかかわるという可能性もありますよね.COVID-19で起きるダメージがウイルスによる直接障害なのか,それとも免疫系による間接障害,いわば暴走なのかというのも,いろいろな病態がありますので判断が難しいです.

忽那臨床医としても,特定の科だけでは捉えられない感染症だというのを実感しています.最初は感染症内科と呼吸器内科で患者さんを診ていたのですが,そこに循環器内科の先生が加わり心筋障害に興味をもたれたり,神経内科の先生が神経障害に興味をもたれたり,さらに小児科,産婦人科などいろいろな科の叡智を集めて取り組むようになっています.

感染症研究に必要なのは日本版CDCよりむしろシステム

嘉糠私の大学でも,COVID-19の患者さんを診ている各診療科からさまざまなリサーチクエスチョンが出ており,研究への熱意を強く感じます.一方でそれを迅速に動かせない今の状況は歯がゆく思いますね.例えばコロナウイルスに関連するサンプルを大学で研究目的で扱うとなるとP3レベルの実験施設が必要になります.

宮沢それに加えて倫理申請の手続きに時間がかかるのも問題です.刻一刻とサンプルやデータの状況が変わるなか,研究者としてはA4の書類1枚で即日通してほしいくらいなのに,分厚い書類を書いて,その上3カ月とか待たないといけない.しかも,他のプロジェクトの特任研究員や研究費をCOVID-19の研究に充てることもできない.そうこうしているうちにアメリカからどんどん論文が出てくる.合わせて言わせていただくと,ちょうど今回の流行のはじまりは2月頃でしたが,年度末で予算が残っていない状況でもありました.そこでN95マスクやガウンを注文したい,となっても,4月1日にならないと次年度の予算を使えない,しかも(たとえ納品・請求が次年度だったとしても)「発注」を年度内に行うことすらできないというのです.

私は,そのときに広まっている感染症に対してプロジェクトで予算をつけるのではなく,今は流行っていないウイルスも含めてベーシックな研究を恒久的な財源を確保してできる研究機関が必要だと訴えています.私の夢としてはP3,P4施設が完備した感染施設で,獣医と医者が半々くらいいて,家畜など大型動物の感染実験ができるようなものを日本に2カ所くらいつくって欲しいです.場所も,空港が近いけれども近くに人が住んでいないような場所や,橋一本だけでつながれているような島などがいいですね.研究者からしてみると安全だとわかっているから病院の近くや都会につくろうと考えますが,住んでいる人からすれば安全だとしても嫌なものは嫌なので.

嘉糠日本版CDCと並んで日本の感染症対策の大きな課題の1つですよね.ちなみに忽那先生,臨床研究の申請にはどのくらいかかりましたか?

忽那回復者血漿の研究では,血漿の保存は4月からはじめたのですが,投与は6月に申請して9月承認なので3カ月かかりました.タイムリーにというわけにはなかなか行かないですね.

嘉糠CDCといえば,私たちの世代だと米国CDC(Center for Disease Control and Prevention)が世界の司令塔,感染症はここに任せれば大丈夫だ,というイメージでした.実際自分も春頃はアメリカに倣って日本版CDCをつくるべきだ,と言っていました.しかし今アメリカでCOVID-19感染が拡大している状況を見ると,コントロール機能があるとは言い難いです.日本版CDCという話よりむしろ,世界で見たときにどう再構築するか考えるべきという印象です.

忽那日本にないのは,政治と独立して科学的に感染症対策の方針を決める機関です.厚生労働省や国立感染症研究所,また私の所属する国立国際医療研究センターは,いずれも対策を指示して進める政治主導の機関です.CDCという名前でなくていいと思いますが,中立の立場で対策を科学的に吟味する機関が必要だと思います.あとはリスクコミュニケーション対応をする機関としても,CDC的な組織が担えるといいと思います.

嘉糠今は研究業界での壮大な,いわば「社会実験」の最中だと思うのです.春先からロックダウンされて大学に行けず「研究ってなんなんだろう」と考えている状態から,徐々にみんなが大学に戻って「よし,これを機会にCOVID-19研究をやろう」と考える人たちが全国あちらこちらで出てくる動きを期待しています.そんな中,AMEDやJST等がCOVID-19を対象とした研究費を次々に打ち出し,頻繁に公募を行っていますよね.もちろん,それまでにコロナウイルスの業績や予備データがある人はほとんどいないわけですから,ある意味で業績主義じゃない評価方向へとスイッチできたわけです.ただこれを実行するためには原資そのものと,運用上の柔軟性が必要です.加えて,さまざまな申請プロセスが簡便化してフットワークが軽くなるといいですね.

感染症研究にさまざまな人と分野が入ってくる

最後に増刊号の締めくくりとして,今後の感染症研究へのメッセージをお願いします.

宮沢感染症研究に「選択と集中」はあまり行わず,ある程度のお金を配分して各研究者がおのおの興味のあるテーマを行えるようにしてほしいと思います.今回のSARS-CoV-2も,もともとは動物由来の非病原性のウイルスで,もともとは研究費が取りづらい分野でした.しばらくはコウモリのウイルス調査などに予算があてられるかもしれませんが,COVID-19が忘れ去られた後でも研究費が続くのが望ましいと思います.それは感染症研究として重要だからなのはもちろんですが,新しい分野,例えば研究ツールとしてのウイルスの応用,進化への影響,がん研究などにも発展をもたらす可能性があるからです.

あとは若い人たちが感染症研究に入りやすいような工夫ですね.これから分野を選ぶ人には,今流行っているウイルスはやらないほうがいいよ,とは伝えています.なぜなら,その方が成長した頃には違うウイルスが流行っているであろうからです.なので今流行っているかどうかはあまり気にしないで,おもしろいと思ったことには自分の価値判断を重視して飛び込んでもいいのではないでしょうか.

忽那臨床研究を行う身としては,情報更新が今までで一番目まぐるしく早い状況を見ていると思います.そのなかで私たちも,じつは世界で最速の情報をもっていたにもかかわらず投稿から掲載の過程で海外に負けたという苦い経験もありました.研究の情報はどんどん風化していき,ついこの間まで最先端だった話題が,1つ2つリジェクトを受けるだけでどこにも通らなくなってしまいます.ですので次の感染症のときには……と話すにはもちろん早すぎるのですが,でも新しい感染症が登場したときに世界とどう競争するのか,いかに速く情報を出そうか,この経験を活かしてやろうと思います.

嘉糠この数カ月,COVID-19を通じていろいろな研究が世界から出てきて,これまでにない進み方を目の当たりにすることができました.あっという間にヒト型ACE2発現マウスが作製されたかと思えば,人類遺伝学者からはネアンデルタール人の遺伝子が残っていることが東アジアの人の感染への耐性に影響するという説が登場したりと,いろいろな研究分野が驚くべきスピードで融合しています.それに加えて,ベーシックサイエンスから発信されるさまざまなCOVID-19関連研究が,人類に貢献しているのを目の当たりにする,これはある意味でたいへん幸せな状況だと感じています.今後の感染症研究では,このままいろんな分野が混沌とした状態で推移し,時に融合していくことが当たり前の世界になってくれたらいいと思います.そういうことが,先ほど忽那先生がおっしゃった戦える力,レジリエンスにもなると思います.その一端を,この増刊号のそれぞれの話題からも感じ取っていただければ編者としてもこの上ない喜びです.

貴重なお話をありがとうございました

(司会:実験医学編集部 早河輝幸)

文献

  • Bölke E, et al:N Engl J Med, 383:1694-1695, 2020

<参加者プロフィール>

嘉糠洋陸:東京慈恵会医科大学教授(熱帯医学).1997年,東京大学農学部獣医学科卒業,2001年,大阪大学大学院医学系研究科修了.’11年から現職.専門は衛生動物学・寄生虫学.病原体を運ぶ蚊と戯れるべく,頻繁に西アフリカに赴く.コロナ禍において,当初は病原体検出の純粋な興味からはじめたことが,気が付けば大学版PCRセンターの立ち上げに至り,自らピペットを握って鼻腔スワブと格闘する毎日となっている.

忽那賢志:国立国際医療研究センター国際感染症センター医師.2004年山口大学を卒業し,’12年4月より国立国際医療研究センターで勤務.輸入感染症,新興・再興感染症を専門とする.新型コロナウイルス感染症に対しては,武漢チャーター便,ダイヤモンド・プリンセス号からかかわり,現在は回復者から採取した血漿を投与する「回復者血漿療法」の臨床研究を行っている.

宮沢孝幸:1964年東京都中野区生まれ.京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授.東京大学卒業.同大学助手,大阪大学助手,帯広畜産大学准教授などを経て,京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授.同研究所ウイルス共進化分野主宰(PI).京都大学レジリエンス実践ユニット,未来創成学国際研究ユニット,宇宙総合学研究ユニット構成メンバー.専門はウイルス学,公衆衛生学,分子進化学.獣医学会賞など受賞.

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