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第4章 領域別に観る まず基本走査を学ぼう
5 左肋間走査
岡庭信司
(飯田市立病院 診療技幹/内視鏡センター長)
走査手順(図1)

主な対象臓器
膵尾部,左腎,脾臓
指標となる主な血管
・動脈
脾動脈,腎動脈
・静脈
腎静脈
・門脈
脾静脈
左腎・脾臓(図2)

走査方法
- 仰臥位の吸気位で息止めを指示し,プローブを最背側の肋間に密着させて左腎の長軸像(図3①)を描出する.
- プローブを背側に扇動操作し,腎背側と腸腰筋の境界(図3②)を観察する.
- プローブを腹側に扇動操作し,脾臓と左腎の境界(図3③)を観察する.
- 腹側の肋間に移動し,②③の操作をくり返して観察する.

- この走査ではプローブの扇動操作が困難となることがあるため,被検者をベッドの左側に移動あるいは右半側臥位とする.
- 左腎の描出不良時には,右腰を少し浮かせた右半側臥位(下図)にしたり,左肋骨弓下横走査で短軸像を描出する(図3④).
- 図3③の断面では,少量の腹水や出血が描出できることが多い(コラム:FAST参照).


脾門部・膵尾部(図4)

走査方法
- Ⓐ左腎・脾臓の観察に引き続き仰臥位の吸気位で息止めを指示し,左腎を観察した位置から1〜2肋間腹側にプローブを移動して脾臓と腎臓の境界(図5①)を同定する.
- プローブを肋間で扇動操作し,脾門部の脾静脈(図5②)を描出する.
- プローブをやや腹側に向け,肋間内で回転操作を行い,脾門部の脾静脈を背側に追跡すると脾静脈の足側(向かって右側)に膵尾部の長軸像(図5③)が描出できる.
- 前後の複数肋間から扇動操作を行い膵尾部を観察する(図5④⑤).
