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問題024
選択肢 ①洞房ブロック ②房室ブロック ③心房期外収縮 ④心室期外収縮 ⑤高カリウム血症
・心室の不応期はこのような経過を辿ります.
・この心室が動けない(↑)ときに,とても早いタイミングで心房から期外収縮が起こると,心室は動けないため心房のP波だけが出現します.これが非伝導性心房期外収縮(blocked PAC)の正体です.
・blocked PACの場合,ほとんどがT波にP波が重なっているためT波の形の変化(鋭いT波や二峰性のT波)に着目します.
・また,房室ブロックと鑑別する際はPP間隔をディバイダーにて測定し,PP間隔が一定であれば房室ブロック,PP間隔が短縮していればblocked PACと考えます.房室ブロックでは洞結節は正常に刺激を出し続けているためPP間隔は一定になり,PACは予定より早い心房の収縮のためPP間隔は不整になります.
・本症例では,Ⅱ誘導の○のところにPACのP波が出現しています.T波の頂点付近にP波が隠れているため先鋭したT波となっています.blocked PACの2段脈のためRRの間隔は規則正しくなっています.
・V1誘導ではT波の前に陽性のP波(○)がみられ,blocked PACと考えられます.
解答
②房室ブロック
③心房期外収縮
PQ間隔>5 mmのため1度房室ブロックがあります.
選択肢
①洞房ブロック:本症例ではP波は脱落していないため(○)洞房ブロックとはいえません.
④心室期外収縮:予定より早い,QRS幅の広い波形はありません.
⑤高カリウム血症:P波がT波に重なって先鋭化していますが(○),左右非対称で増高はしていないためテント状T波ではありません.


