生理学・生化学につながる ていねいな生物学

生理学・生化学につながる ていねいな生物学

  • 白戸亮吉,小川由香里,鈴木研太/著
  • 2021年02月19日発行
  • B5判
  • 220ページ
  • ISBN 978-4-7581-2110-1
  • 定価:2,420円(本体2,200円+税)
  • 在庫:あり
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3章 血液の循環と調節

3.体液調節と尿生成

1.体液とは?

体液の区分と水分

これまで,体液には血液,リンパ液,組織液(間質液)があることを勉強してきました .これら体液のうち,細胞内を満たすものを細胞内液といいます.細胞内液では,細胞の機能を発揮するためのさまざまな化学反応が起こります.体液のうち,細胞外にある液体を細胞外液といいます.細胞外液には,血液の液体成分である血漿 や細胞の周囲を満たす組織液(間質液),リンパ液などが含まれます.体液のうち,細胞内液が約65%,細胞外液が約35%を占めています ※1

体液の水分は体重の約60%を占め,水は人体を構成する最大の化合物です.脂肪組織に含まれる水分量は少なく,筋組織に含まれる水分量は多いため,人体の水分量は脂肪組織の量に影響されます.成人男性の体内の水分量は体重の約60%ですが,成人女性では成人男性と比較すると脂肪組織の割合が高いため,体重の約55%となります.新生児は細胞外液の割合が多く,体重の70~80%程度です.高齢者では年齢とともに筋組織などが減少する(水分の割合が減る)ため,50~55%程度となります.

体液に含まれる電解質と非電解質

体液にはさまざまな物質が溶けており,電解質※2非電解質に分けられます.

電解質のうち,正(+)の電荷をもつものを陽イオン,負(-)の電荷をもつものを陰イオンとよびます.体液に含まれる陽イオンには,ナトリウムイオン(Na),カリウムイオン(K),カルシウムイオン(Ca2+)などがあります.また,陰イオンには,塩化物イオン(Cl),リン酸水素イオン(HPO42-),重炭酸イオン(HCO3)などがあります ※3.電解質は,体液の浸透圧やpH を調節し,神経細胞や筋細胞が機能するためなどに重要な機能を果たしています.また,体液にはグルコースや尿素などの非電解質も含まれています.

細胞内液と細胞外液の組成

細胞内液と細胞外液(血漿と組織液)の組成を図3-27に示します.細胞内液は,細胞外液に比べてKやHPO42-の割合が高くなっています.一方,細胞外液は,細胞内液に比べてNaやClの割合が高くなっています.

血漿と組織液は,毛細血管の内皮細胞によって隔てられています.毛細血管の内皮細胞は水やイオンは通過しやすいですが,大きなタンパク質分子は通過しにくくなっています.そのため,組織液に含まれるタンパク質の割合は血漿よりも低くなっています.血漿と組織液の組成は,タンパク質の割合を除けば,基本的には似ているといえます.

体液の濃度は保たれている

細胞外液の濃度を一定の範囲内に保ち,ホメオスタシス※4を維持することは,細胞が正常に働くうえで非常に重要です.例えば,細胞外液の電解質の濃度が高くなると,細胞内から細胞外へ水が移動しやすくなります(浸透圧の上昇).細胞内から水が出ていくと,細胞の代謝が円滑に進まなくなるうえに,細胞自身も収縮してしまいます.一方,細胞外液である血漿中のグルコースの濃度が低くなると,組織の細胞に栄養素として供給されるグルコースが不足します.このように,細胞外液の濃度が一定の範囲内に調節されなければ,細胞は正常に活動できなくなります.

2.尿ができる過程は? 泌尿器系

腎臓と尿の通路(尿路)である尿管膀胱尿道をあわせて泌尿器系とよびます(図3-28).泌尿器系では,尿の生成と排出が行われます.本書では,泌尿器系のなかでも特に体液の調節に重要な働きをする腎臓の構造と機能に注目します.

体内に含まれる水分量,電解質の量とそのバランスを調節して,ホメオスタシスの維持を可能にしているのが腎臓です.また,腎臓は,血漿から不要(過剰,有害)な代謝産物(老廃物)を尿中に排出することによってもホメオスタシスの維持に貢献しています.腎臓はアルドステロンによる循環血液量の調節 や,バソプレシンによる血漿浸透圧の調節 などにもかかわっています.

図3-28 泌尿器系の概観

腎臓の構造

図3-29 腎臓の構造

腎臓は,重さ120~150 gほどのそら豆形をしており,左右一対で存在します ※5.腎臓は,外側の皮質と,内側の髄質に分けられます(図3-29).

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  • 在庫:あり
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