科研費獲得の方法とコツ 改訂第8版〜実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略

科研費獲得の方法とコツ 改訂第8版

実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略

  • 児島将康/著
  • 2022年07月11日発行
  • B5判
  • 308ページ
  • ISBN 978-4-7581-2120-0
  • 定価:4,290円(本体3,900円+税)
  • 在庫:あり
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第3章 申請書の書き方

3 研究目的,研究方法など―この欄の全体像

「概要」の例とその直し方

「概要」部分を読むときに,研究の①背景,②目的,③展開・応用と3つの項目に注目してみると,自分の書いた概要の欠点がよくわかる.次の例,図3-14をみてみよう.

この例の文章構造を分析してみると,研究の「背景」と「目的」の2つの部分から構成されている(図3-15).

あるいは研究の「背景」「方法」と「目的」の3つの部分から構成されているとみることもできる(図3-16).

この例では研究の「背景」が大部分を占めて,「目的」が少なくアンバランスなことがわかるだろう.しかも,研究の「展開・応用」にはまったく触れられていない.概要部分は全部で10±1行くらいを目安とすると,「背景」と「問い」に4~5行,「目的」に2~3行,「展開・応用」に2行といったところが適切な分量である(図3-17).

この例について,少し文章を整理して研究の展開を加えると,まとまった概要ができあがる(図3-18).

概要に書くべき3つの項目のなかで,書かれていないことが多いのは,研究の「背景」と「展開・応用」である.図3-19に例をあげる.なお,この例は私が以前チェックした申請書を改変して使わせてもらっている.

この文章の構造は,研究の「方法」,「目的」,「展開・応用」となっており,肝心の研究の背景が書かれていない(図3-20).しかし,この例のように概要部分に研究の「背景」が抜けていたり,あるいは研究の「展開・応用」が書かれていないものでも,本文を読むと「背景」や「展開・応用」がきちんと書かれている例がほとんどだ.この例のもととなった申請書のなかにもきちんと書かれていた.

この例の場合,本文から研究の背景に相当する部分を探すと,「次世代バイオ医薬品として期待の高いsiRNA創薬であるが,in vivoで有効性を発揮するのは困難で未だ医薬品としての成功例はない」とあった.これを概要部分に組み込んで整理すると,まとまった概要ができあがる(図3-21).

もう1つ例をあげよう.これはきちんと3つの項目がまとまっている例である(図3-22).

これも同じように文章構造を調べると,研究の背景がやや多いが,3つの書くべき項目はきちんと書けている(図3-23).

さらに文系の例をあげておく(図3-24図3-25).この例では「背景」にあたる部分が2カ所に分断されている.改善例では「背景」部分をまとめるとともに,「一心同体」「水平展開」などの表現を改めた.

このように「概要」部分は,研究の「背景」,「目的」,「展開・応用」,がきちんと書けているかチェックすればよい.最初に書いたように概要は申請書のサマリーである.そのため,本文を書き上げて,そのなかから重要な部分を抜き出して概要としてまとめるのがお勧めである.もう一度繰り返すが,この「概要」は審査委員が最初に目を通す部分であろうから,ぜひともしっかりとした内容の理解しやすいものに仕上げてほしい.

➡︎「研究目的,研究方法など」の「概要」の書き方のポイント
  • 簡潔に書くこと.多く書きすぎない(10行程度).
  • 研究の「背景(4~5行)」と「目的(2~3行)」と「展開・応用(2行)」をはっきりと書く.
  • 「背景」には「問い」を書くことを忘れずに.

申請書を読みやすく理解しやすいものにするちょっとした工夫

ちょっとした工夫をすることで,申請書は読みやすくなり,審査委員に理解されやすくなる.

●改行と項目分け

例えば「概要」部分.先に「概要」には研究の「背景」,「目的」,「展開・応用」を必ず書くようにお勧めしたが,これらを1つの部分として書くのではなく,適宜改行を入れてそれぞれの部分を別々の段落にするとよい.例えば図3-26図3-22と同じ内容のものを段落を設けずに記入してある.このままでもよいが,「背景」のあとで改行して2つの部分にすると,「背景」とその問題点が書かれた段落と,研究「目的」とその「展開」が書かれた段落が対比されて,読みやすく,理解しやすくなる(図3-22).スペースに余裕があれば,「背景」,「目的」,「展開・応用」と3つの部分に分けるのもよい.また「研究の全体構想」と「本研究の具体的な目的」などと見出しを書いて,分けて記載するのもよい方法だ(図3-27).

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