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書 評
高橋 清久
(公益財団法人神経研究所 精神神経科学センター長,国立精神・神経医療研究センター名誉総長)
本書を読み終わって,広角と丁寧というキーワードが浮かんできました.睡眠を単にその生物学的側面と医療的側面のみならず社会面からも幅広く見据えられて話を展開している点が特徴の一つであり,説明が丁寧で具体的でわかりやすいという印象でした.
これまで私が読んだ睡眠関係の本は睡眠の専門家が書いたものは硬く難解な箇所が多く,一方心理士や作業療法士,また評論家など睡眠の専門家でない者の書いた本は,わかりやすい代わりに表面的で深みのないものが多いという印象でした.本書はその両者の良い面を併せもっているように思えました.
ぜひ多くの人々に本書を読んでほしいと思いますが,とりわけ睡眠を専門としない医師には読んでほしいと思いました.特に研修医などにはぜひ読んでもらいたいと思います.彼らの遭遇する患者の多くが睡眠の問題をもっているでしょうから,この本で得られた知識や考え方を身につければ患者さんのニーズにより適切に対応できるでしょう.私も知識の整理ができました.
