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書 評
兼松 英資
(東京都立多摩南部地域病院)
第1章-4 「抗SS-A抗体が陽性ですが,シェーグレン症候群でしょうか?」 特に抗Ro-52抗体と抗Ro-60抗体に関する解説がよかった.日本語の総説や海外の文献でも結局,どの測定方法でどの抗体を測ればよいのかやその意義に関しては記載が十分でないことも多かった.それに対して本稿ではFEIA法で52・60ともに測定できCLEIA法では60のみ測定していることがわかった.またRo-52単独陽性の意義に関して最近では英語論文はしばしば見かけるが日本語で総説や商用紙で見ることが少ないために初学者向けに解説があるのはとてもよかった.
鑑別診断に関しては全体に浅く少な目であったのでより掘り下げているともっと実践的になると感じた.特に第3章のレイノー現象やぶどう膜炎に関してはより鑑別診断が多岐にわたるため少数の特定の疾患を解説するよりも包括的なアプローチを提案した方がコンサルテーションを受けた時の参考にしやすいと思った.例えば自分ならぶどう膜炎に関しては病歴・身体所見で何を確認するのか,ルーチンの検査を何にするのか,どのようなカテゴリーに分類して鑑別をすすめるかが記載されている方が臨床に活かしやすいと感じた.
