そうだったのか! 実臨床で必要な輸液の考え方〜症例で学ぶ 患者に応じた体液・電解質管理

そうだったのか! 実臨床で必要な輸液の考え方

症例で学ぶ 患者に応じた体液・電解質管理

  • 西﨑祐史,長浜正彦/編
  • 2023年10月11日発行
  • A5判
  • 253ページ
  • ISBN 978-4-7581-2405-8
  • 定価:4,400円(本体4,000円+税)
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第3章 コモンディジーズ

2 下痢・嘔吐を呈した症例の輸液マネジメント

龍華章裕
(国立病院機構名古屋医療センター 腎臓内科)

  • 下痢・嘔吐は,酸塩基平衡異常・電解質異常をきたしていることが多く,それらの適切な診断が効果的な輸液療法のために重要です
  • Cl反応性の代謝性アルカローシスの症例に対しては,生理食塩液の投与で補正を図ることが重要です

嘔吐の症例

51歳女性.うつ病などで近医精神科に通院中.定期的に体動困難で当院に救急搬送され,脱水による腎不全の悪化で入院,補液で改善し退院するという経過をくり返している.

今回も,受診前日から「体が思うように動かなくなった」とのことで救急要請された.

血液検査で腎機能の著明な悪化および代謝性アルカローシスを認め,腎臓内科に診療依頼があり,治療目的に入院された.

【身体所見】
身長:149 cm,体重:30.0 kg.
血圧:96/74 mmHg,脈拍数:74回/分,体温:35.1℃.
るいそう著明,浮腫なし,皮膚ツルゴールは低下,口腔内は乾燥.

【血液検査】
Alb:4.1 g/dL,BUN:38 mg/dL,Cre:4.33 mg/dL,UA:16.8 mg/dL,
Na:134 mEq/L,K:3.3 mEq/L,Cl:76 mEq/L.

【動脈血液ガス分析】
pH:7.63,HCO3:47 mEq/L,pCO2:48 Torr.

【尿検査】
pH:8.0,Na:58 mEq/L,K:50 mEq/L,Cl:16 mEq/L,Cre:141.13 mg/dL,UN:267 mg/dL.
FENa:1.3%,FEUN:21.6%.

①酸塩基平衡異常を診断する

  • 血液ガス所見から酸塩基平衡異常を確認するには表1のように4つのステップでみていくことが重要です.
  • さて,本症例の血液ガス所見もこの4つのステップで読んでいくことにしましょう.
ステップ①
  • 動脈血液ガス分析からアシデミアかアルカレミアかを判断
    →pH:7.63であり,7.45以上なのでアルカレミアである.
ステップ②
  • 血液ガスの異常がHCO3の変化によるものか,pCO2の変化によるものかを判断
    →HCO3:47 mEq/Lであり,代謝性アルカローシスが存在する.
ステップ③
  • AGを計算
    →AG=Na-(Cl+HCO3)=134-(76+47)=11とAGは正常
ステップ④
  • 代償性変化が適切な範囲かを計算(今回のケースは代謝性アルカローシスが1次性変化なので予測される呼吸性代償を次式で推測)
    ΔpCO2=(0.5〜1)×ΔHCO3=(0.5〜1)×(47-24)=11.5〜23 Torr
    →基準値 40±5 mmHgとすると実測値48 Torrで,pCO2の上昇は呼吸性代償として妥当な範囲内と考えられる.
  • 以上のステップから,本症例の酸塩基平衡異常は代謝性アルカローシスと診断しました.

②低K血症の鑑別診断

  • 本症例は,軽度ですが低K血症(K<3.5 mEq/L)を認めます.低K血症の原因は,主に①消化管からの喪失,②Kの細胞内移動,③Kの腎性喪失,の3つに分けるとわかりやすくなります(表2第2章-4参照).
  • それらの診断には尿中K排泄を評価することが非常に重要で,それが多ければ腎性喪失を,少なければそれ以外,と区別することができ,診断に大きく寄与します(図1).
  • ここで,注意してほしい点があります.多くの論文や教科書のアルゴリズムでは,下痢や嘔吐による低K血症は,消化管からのKの喪失とまとめられ,尿中K排泄が少ないと記載されていることがよくあります.尿中K排泄から評価して,そのまま診断アルゴリズムに乗せてしまうと診断を誤ることがあるため注意が必要です
  • 特に嘔吐ですが,そもそも胃液中のK濃度は5〜10 mEq/Lとそこまで高くありません(表3参照).嘔吐をすると胃酸という酸を体外に捨てることになるので,体はアルカリに傾きます.体がアルカリに傾くと尿からHCO3が排泄され,そのHCO3という陰イオンに伴って陽イオンであるK(およびNa)が排泄されるため,尿中K排泄が増加します.つまり,嘔吐では主に尿中K排泄が増加して低K血症になるのです.
  • 筆者は低K血症の患者さんを診た際には,最初に尿中Na/Cl比を評価するようにしています.
  • 尿中K/CreやTTKG による尿中K排泄の評価は前述のようにとても重要な指標ですが,下痢や嘔吐を見落としてしまう可能性があることや,計算が少々煩雑(慣れてしまえば大した問題ではありませんが,普段から水電解質異常ばかり見ているわけではない研修医の皆さんなどにはストレスフルだと思います)で,単位の統一を間違うと混乱のもとになるのも事実です.一方,尿中Na/Cl比はパッと見ただけで判断できるため,個人的にはかなり重宝しています3)+αもう一歩先に:低K血症における尿中Na/Cl比の使用参照).
  • 本症例では,尿中Na/Cl比=58/16=3.63と高く,嘔吐を疑うことになります.
低K血症における尿中Na/Cl比の使用

元来,消化管からのK喪失で低K血症になるとされる嘔吐や下痢では,尿中K排泄は減少すると説明されることが多いですが,本文中にも記載したように,そもそも嘔吐は尿中K排泄が増加することが多く,下痢の患者でも,低Mg血症の併発や(低Mg血症は尿中K排泄を増やします),細胞外液量減少による二次的なレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の活性化により尿中K排泄が増加することがあります.よって,消化管からのK喪失が原因とされる嘔吐や下痢の診断に尿中K排泄を使うと正しい診断につながらない可能性もあります.

2017年に台湾から,慢性低K血症の診断に尿中のNa/Cl比が有用であることが報告されました.この論文によると,腎臓(つまり尿細管)からのK排泄では尿中Na/Cl≒1,嘔吐では尿中Na/Cl>1.6(感度:95.2%,特異度:98.7%),下剤乱用では尿中Na/Cl<0.7(感度:86.5%,特異度:100%)となったことが報告されています3).筆者の臨床現場での実感でも同様であり,本症例のような嘔吐の症例では,この比は上昇しますし,ウイルス性・細菌性腸炎の症例では低下するのをよく目にします.

では,なぜ,このような尿所見になるかを見ていきましょう.嘔吐では,NaよりClを多く含む胃液(表3)を体外に出すことになります.そして,胃酸が排出されるために,体内はアルカリに傾きます.一般的に,代謝性アルカローシスでは,ほとんどの場合で腎臓からのHCO3排泄ができないために代謝性アルカローシスが維持されることになりますが,嘔吐の場合は腎臓でのHCO3排泄が抑制されません.よって,尿からHCO3が排泄されることになりますが,その際に陽イオンとしてNaが一緒に排泄されます.そのため,尿Na/Cl比は上昇します.

一方,下痢では腸管からのHCO3排泄が生じることや下痢によって低K血症が生じることから尿からのNH4の排泄が増加(こう動く!:代謝性アルカローシスにおける尿アニオンギャップの使用参照)します.このとき,電荷の観点から,陰イオンとしてのClがともに排泄され,尿Na/Cl比は低下します.

③代謝性アルカローシスの診断

  • 本症例では著明な代謝性アルカローシスがあることも特徴的です.ここで代謝性アルカローシスについても見ていくことにしましょう.
  • 代謝性アルカローシスを形成させるにはHの喪失かHCO3の増加のどちらかが必要です(表4).
  • しかし腎臓のHCO3を排泄する能力は高いため,1)体液量減少,2)有効循環血漿量減少,3)Cl欠乏,4)低K血症,5)腎機能障害といった腎臓からのHCO3排泄が低下する因子(表5)が存在しない限り,ほとんどの場合で代謝性アルカローシスは維持されません.この形成因子と維持因子の2つがあってはじめて代謝性アルカローシスが維持されることになります5)
  • 代謝性アルカローシスの原因を診断するうえで,尿中Cl濃度を評価することがとても重要です(図2).
  • この鑑別は治療に直結し,尿中Cl濃度が低い場合(<20 mEq/L)はクロール反応性,高い場合(>20 mEq/L)はクロール抵抗性として,治療を計画していくことになります.
  • 代謝性アルカローシスの原因は多岐にわたりますが,95%以上が利尿薬の使用もしくは消化管からのClの喪失によるものと言われているので,代謝性アルカローシスを診た時点でその辺りの病歴を重点的に確認することが重要です.
  • 筆者はさらに,代謝性アルカローシスの症例では必ず尿のアニオンギャップと尿pHも一緒に評価するようにしています.尿のアニオンギャップと尿pHが高い際は,嘔吐か重炭酸の過量服用を疑うことになります6,7)が(図3),筆者の経験上では圧倒的に嘔吐が多い印象があります.なぜ,嘔吐でこのような尿所見をとるかについては後述します(こう動く!:代謝性アルカローシスにおける尿アニオンギャップの使用参照).
  • 本症例では,尿pHが高く,尿のアニオンギャップも58+50-16=92と著明に高値であることがわかり,救急外来でコンサルトを受けた段階で,この酸塩基平衡異常と尿所見から,本症例の低K血症と代謝性アルカローシスが嘔吐によるものであると強く疑いました.
  • 一般に,嘔吐や胃液ドレナージによるアルカレミアは重篤になりやすく,血清HCO3>45 mEq/Lのときは,胃液喪失を常に念頭におくべきであると言われており8),本症例の血清HCO3:47 mEq/Lとかなり高かったことも,この考えを支持しました.
  • 以上から,低K血症と代謝性アルカローシスの原因を,筆者は当初から嘔吐によるものであると強く疑いましたが,患者に嘔吐の病歴を聞いても,「たまに吐くことはあるけど」と,自己誘発による頻回な嘔吐の病歴は取れず,身体所見で吐きダコを見つけましたが,「タバコで火傷して…」と,やはり認めてくれませんでした.入院後,病棟の看護師から「○○さん,毎日トイレでかなり嘔吐していますが,大丈夫ですか?」と報告を受け,本症例の診断がついたのでした.
代謝性アルカローシスにおける尿アニオンギャップの使用
  • やや特殊だが,代謝性アルカローシスにおける尿アニオンギャップの使用について説明する.
  • 尿は電気的に中性なので,尿中に含まれる陽イオンと陰イオンは等しく存在する(図4).
  • 陽イオンのなかには,主にNa,K,およびNH4が存在し,このなかで測定できるのはNaとKである.一方で,陰イオンのなかには,主にClとHCO3が主に存在し,このなかで測定できるのはClである.測定できない成分は,おのおのunmeasured cation(UC,主にNH4)にunmeasured anion(UA,主にHCO3)にまとめられる.
  • 陽イオンと陰イオンは等しく存在することから,
    Na+K+UC=Cl+UA
    という式が成り立つ.代謝性アシドーシスの際に,アニオンギャップ(anion gap:AG)は測定できない陰イオン(UA)がどの程度存在するかを評価するのに使用され(乳酸やケトン体といった陰イオンが多くなれば,乳酸アシドーシスやケトアシドーシスということになる),代謝性アシドーシスをAG上昇性と非上昇性に分類するが,尿でも同様にUAがどの程度尿から排泄されているかを求めるには以下の式になる.
    尿AG=尿UA-尿UC=(尿Na+尿K)-尿Cl
    代謝性アシドーシスでは測定できない陽イオン(UC)であるNH4が尿中に多く含まれているかを予測するために計算される.つまり,UCであるNH4が多く排泄されていれば尿AGは負になり,この代表が下痢ということになる.
  • 一方,代謝性アルカローシスでは測定できない陰イオン(UA)であるHCO3が尿中に多く含まれているかを予測するために計算される.つまり,図4のようにUAであるHCO3が多く排泄されていれば尿AGは50以上になり,この代表が嘔吐や重炭酸の過量服用ということになる(嘔吐は腎臓からのHCO3排泄が抑制されない).
  • ただ,個人的な臨床現場での体感では,急性腎障害のときもしばしば尿AGは上昇することが多く,この場合,尿pHは低い印象がある.よって,嘔吐や重炭酸の過量服用を診断するときは,必ず尿pHも同時に評価する必要があると思っている.

④輸液戦略

生理食塩液の投与
  • 本症例は,嘔吐による低K血症および代謝性アルカローシスを呈しています.そして,尿中Cl濃度が低いことから,第一選択は,生理食塩液になります.
  • 本症例は,口腔内乾燥や皮膚ツルゴールが低下しており,FEUNが21%と低かったことから(なお,嘔吐では前述のように尿中Na排泄が増えるので,FENaを使用するのは不適切と考えました),細胞外液量減少があると判断しました.
  • 生理食塩液は細胞外液量を補正するのにも効率的です.本症例がそうであるように,嘔吐の症例は,胃液という低張な細胞外液を体外に喪失しているにもかかわらず,アルギニンバソプレシン分泌刺激が亢進することにより腎集合管からの水再吸収が生じます.そのため,低Na血症を呈することが多く,もし程度がひどい場合はNa濃度が濃い生理食塩液投与に伴う血清Na濃度の過剰補正に気を配らなければなりません(嘔吐自体も低Na血症の過剰補正を起こしてしまう原因の1つです(表6).
  • 本症例は,血清Na濃度が134 mEq/Lと若干低下していますが,過剰補正を気にしなければならないほどではありませんし,もし生理食塩液で血清Na濃度が上昇するようなことがあっても,高浸透圧による口渇が出現し飲水行動をとるはずです.

では,もし血清Na濃度がもう少し低かったらどのような輸液プランを行いますか? 以前,筆者も嘔吐による低Na血症を伴った代謝性アルカローシスの症例を経験しましたが(血清Na濃度:120 mEq/L),肝不全用のアミノ酸液(Na:14 mEq/L,Cl:94 mEq/LとNa補充を抑えながらCl補充を行うことができます)を使用し,低Na血症を過剰補正することなく,代謝性アルカローシスを治療することに成功しました10)(保険適用はありませんが,参考になればと思います).

Refeeding症候群への対応
  • さて,もう1つ本症例で注意すべき点は,本症例がrefeeding症候群のハイリスクであるということです(memo参照).
  • 実は,本症例はこの入院の2カ月前にも全く同様の経過で入院をしたことがありました.そのときも生理食塩液で治療を開始し全身状態が改善したのはよかったのですが,医療者の許可なく家族の差し入れを食べてしまい,浮腫や電解質異常が生じてしまいました.よって,本症例の輸液では,まずカロリーなしの生理食塩水で開始しつつ,少量の食事を開始して経過観察しました(もちろん,今回の入院では家族の差し入れは禁止です).
  • 筆者は,refeeding症候群のハイリスク患者のマネジメントをするとき,必ず血清および尿中の電解質の両者をフォローするようにしています.
  • これは,refeeding症候群が低K血症と低P血症を起こすため評価する,というのと,refeeding症候群の場合,それらの電解質異常が生じたときに,尿中KおよびP濃度がきわめて低下するため(これは,インスリン作用で,細胞内へのKとPiの移動が生じ,尿には排泄されないからです),refeeding症候群の発見を早めることができるためです.
  • 近位尿細管障害が生じても低K血症と低P血症が生じるため,尿の電解質を評価することによって細胞内移動か尿中排泄かを判断し,診断を決め打ちしないことが大切です.
低K血症への対応
  • 次に低K血症に対してですが,筆者は低K血症の補正は原則経口投与で行っています.教科書やレビューにそれを推奨されているから11),というのもありますが,静脈投与より短時間に多く投与でき,K投与による急激な高K血症も起こしづらい12)というのもあります.
  • 本症例は2カ月前の入院で,少し身体が動くようになったときに,「私はもう帰る!」と頑なに退院してしまった経緯もあったので,塩化カリウムを生理食塩液に混ぜて投与して静脈炎を起こすとラポールの形成に支障が出る可能性がある,と思ったことから経口の塩化カリウム錠で治療しました.
  • なお,本症例のようなクロール反応性の代謝性アルカローシスに使うべきカリウム製剤は塩化カリウム(KCL)です.Clの補充ができて,代謝性アルカローシスの治療にもなっているからです(これは後ほど詳しく記載します).
処方例
  • 生理食塩液500 mL 60 mL/時
  • 塩化カリウム錠600 mg 1回1錠 1日2回 朝・夕
memoRefeeding症候群
Refeeding症候群は高度の低栄養症例に十分量の栄養投与を行うことにより発症する一連の代謝合併症で,インスリン作用により細胞内に電解質が移動し,低P血症,低K血症,低Mg血症を呈し,うっ血性心不全や骨格筋の筋力低下も惹起します13).致死率が高く14),発症を予防することが大切です.具体的には,リスクの高い患者を拾い上げ(表7),栄養投与量の増量中には本文で解説したようなモニタリングが必要です.高リスク患者では初期投与エネルギーを制限〔体重×10 kcal/kg/日(重症では5 kcal/kg/日)〕程度から開始し,モニターしながら100〜200 kcal/日ずつ増量し,1週間以上をかけて目標量〔25〜30 kcal/kg)まで増量〕しながら,ビタミン投与を行う必要があります〔ビタミンB1(200〜300 mg/日)の補充を最短でも10日間継続〕.

下痢の症例

64歳女性.糖尿病,慢性甲状腺炎,慢性C型肝炎で近医通院中.

2週間前から下痢があり,徐々に下肢の脱力感の増悪を自覚し近医受診され,低K血症があったため当院に紹介された.

【身体所見】
身長:150 cm,体重:58 kg.
血圧:149/80 mmHg,脈拍数:82回/分,体温:36.5℃.
腹部:平坦・軟,軽度圧痛あり.

【血液検査】
Alb:3.5 g/dL,BUN:5 mg/dL,Cre:0.59 mg/dL,UA:6.7 mg/dL,CRP:0.38 mg/dL.
Na:140 mEq/L,K:1.7 mEq/L,Cl:87 mEq/L.

【動脈血液ガス分析】
pH:7.535,HCO3:46.6 mEq/L,pCO2:55.3 Torr.

【尿検査】
pH:7.0,Na:11 mEq/L,K:3.2 mEq/L,Cl:24 mEq/L,Cre:35.05 mg/dL,UN:96 mg/dL.
FENa:0.13%,FEUN:32%.

①酸塩基平衡異常を診断する

  • まずは,本症例でも血液ガス所見を読んでいくことにしましょう.
ステップ①
  • 動脈血液ガス分析からアシデミアかアルカレミアかを判断
    →pH:7.535であり,7.45以上なのでアルカレミアである.
ステップ②
  • 血液ガスの異常がHCO3の変化によるものか,pCO2の変化によるものかを判断
    →HCO3:46.6 mEq/Lであり,代謝性アルカローシスが存在する.
続きは書籍にてご覧ください

文献

  • Chapter 27 Hypokalemia.「Clinical Physiology of Acid-Base and Electrolyte Disorders 5th ed」(Rose BD & Post TW/eds), McGraw-Hill, 2001
  • Palmer BF:A physiologic-based approach to the evaluation of a patient with hypokalemia. Am J Kidney Dis, 56:1184-1190, 2010(PMID:20828906)
  • Wu KL, et al:Identification of the Causes for Chronic Hypokalemia: Importance of Urinary Sodium and Chloride Excretion. Am J Med, 130:846-855, 2017(PMID:28213045)
  • 中山裕史,冨田公夫:輸液―病態別メニューの考え方.日腎会誌,50:100-109,2008(PMID:18421965)
  • Do C, et al:Metabolic Alkalosis Pathogenesis, Diagnosis, and Treatment: Core Curriculum 2022. Am J Kidney Dis, 80:536-551, 2022(PMID:35525634)
  • Yi JH, et al:Metabolic alkalosis from unsuspected ingestion: use of urine pH and anion gap. Am J Kidney Dis, 59:577-581, 2012(PMID:22265393)
  • Marston N, et al:Alkalotics anonymous:severe metabolic alkalosis. Am J Med, 127:25-27, 2014(PMID:24268303)
  • Gennari FJ & Weise WJ:Acid-base disturbances in gastrointestinal disease. Clin J Am Soc Nephrol, 3:1861-1868, 2008(PMID:18922984)
  • Sterns RH, et al:Treating profound hyponatremia: a strategy for controlled correction. Am J Kidney Dis, 56:774-779, 2010(PMID:20709440)
  • Ryuge A, et al:Hyponatremic Chloride-depletion Metabolic Alkalosis Successfully Treated with High Cation-gap Amino Acid. Intern Med, 55:1765-1767, 2016(PMID:27374680)
  • Asmar A, et al:A physiologic-based approach to the treatment of a patient with hypokalemia. Am J Kidney Dis, 60:492-497, 2012(PMID:22901631)
  • Chapter 9 Disorders of Potassium Metabolism.「Comprehensive Clinical Nephrology 6th ed」(Johnson R et al/eds), Elsevier, 2018
  • Mehanna HM, et al:Refeeding syndrome: what it is, and how to prevent and treat it. BMJ, 336:1495-1498, 2008(PMID:18583681)
  • Bioletto F, et al:Impact of Refeeding Syndrome on Short- and Medium-Term All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis. Am J Med, 134:1009-1018.e1, 2021(PMID:33864767)
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