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読者へのメッセージ 緩和ケアは、誰のための学びなのか
緩和ケアの現場には、将来この領域を専⾨にしたい研修医だけが来るわけではありません。眼科、⽪膚科、外科など、すでに別の診療科への進路を決めている研修医が、緩和ケア研修として学びに来ることもあります。そのような研修医に、緩和ケアを学ぶ意味はあるのでしょうか。
緩和ケアを、多職種とともに⼈⽣の最期まで関わる医療と捉えるだけなら、将来、緩和ケアに携わらない医師には関係の薄い領域に⾒えるかもしれません。しかし私にとって緩和ケアとは、解決が難しい苦しみを抱えた⼈が、たとえ苦しみが残っていたとしても、穏やかさを取り戻し、Well-Beingを実感できるための援助を学ぶ場です。
たとえば眼科医になれば、緑内障や⻩斑変性症によって視⼒を⼤きく失う患者さんに出会うことがあります。失われた視⼒をすべて元に戻すことはできなくても、その⼈が少しでも穏やかに、その⼈らしく⽣きるために、医師としてできることはあります。
どの診療科に進んでも、治すことのできない病気や、解決が難しい苦しみを抱えた⼈には出会います。
⼤切なのは、「何科を⽬指しているのか」ではありません。解決が難しい苦しみを抱えた⼈に出会ったとき、その⼈がWell-Being を実感できる援助を提供できる医師になれるか。
その⼒を学ぶことこそ、ホスピス・緩和ケアをすべての医師が学ぶ意味の⼀つなのだと思います。
本書が、ホスピス・緩和ケアが専門領域を越えて医療者にもたらす価値を見つめ直し、日々の診療のなかでその意味を考えるきっかけになれば幸いです。
