分子生物学講義中継:分子生物学講義中継Part0 上巻〜細胞生物学と生化学の基礎から生物が成り立つしくみを知ろう
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分子生物学講義中継

分子生物学講義中継Part0 上巻

細胞生物学と生化学の基礎から生物が成り立つしくみを知ろう

  • 井出利憲/著
  • 2005年10月20日発行
  • B5判
  • 237ページ
  • ISBN 978-4-89706-491-8
  • 定価:3,960円(本体3,600円+税)
  • 在庫:あり
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分子生物学の理解に欠かせない,生化学や細胞生物学….大事なのはわかるけど,覚えることが多すぎて手が回らないという方.ぜひ本書をご一読ください!カユイところに手が届く解説で,暗記ではなく理解して納得!

目次

1日目 ヒトは何からできているのか

I.細かく元素から見ていこう

  • ヒトを構成する元素
  • 細胞を構成する分子
  • 水は生き物を構成する一番多い分子
  • 細胞の内と外で働く無機イオン

II.生き物は有機物でできている

  • 有機物、無機物とは
  • 有機化合物には無限の可能性

III.生き物をつくりあげる化学結合

  • 共有結合
  • 静電的結合
  • 疎水結合
  • 水素結合
  • 水素イオンは特別なイオンだ
  • 弱い結合の大切さ

2日目 驚くべき細胞の世界

I.すべての生物は細胞からできている

  • 生物は原核生物と真核生物に分けられる
  • 真核生物には単細胞生物と多細胞生物がある
  • 体内にはどんな細胞があるか

II.細胞内の小さな構造体、オルガネラ

  • 原核生物の細胞内は構造に乏しい
  • オルガネラとは何か
  • 模式図と実態の違い
  • こんなに混み合っていて機能できるのか

III.それぞれの細胞が特有の形態と機能をもつ

  • 組織と器官
  • 腎臓の例
  • 肺の例
  • 肝臓の例
  • 胃の上皮の例
  • それぞれの細胞が特有の形態と機能をもつ

3日目 細胞内世界の広がり

I.オルガネラの起源

  • 生命誕生の歴史から眺める
  • ミトコンドリアと葉緑体は共生によって生まれた
  • 核の誕生が真核生物の多様性を生んだ

II.オルガネラの発見と機能解析

  • オルガネラはまず形態学的な観察で発見された
  • 光学顕微鏡で見えるオルガネラがある
  • もっと細かいところは電子顕微鏡で見える
  • オルガネラの機能を解析する

III.サイトゾルというもの

  • 細胞質は有機物が溶けた水溶液か
  • オルガネラより小さい高分子複合体は存在するか

IV.無秩序・秩序・ゆらぎ・生命

  • 無秩序から秩序へ
  • 精密さとゆらぎと
  • 新しい生物学の夜明けである

4日目 生体を構成するタンパク質・脂質・糖質

I.アミノ酸とタンパク質

  • タンパク質の成分、アミノ酸
  • アミノ酸同士の結合
  • タンパク質の基本
  • タンパク質が働く形

II.脂質

  • 脂質の性質
  • 脂質を構成する脂肪酸
  • 脂質の種類と働き
  • 機能する脂質

III.糖

  • 糖の構造
  • グリコシド結合
  • グリコバイオロジー

IV.細胞成分の分画

  • シュミット・タンホイザー法

5日目 細胞膜の構造と機能

I.細胞膜とは

II.膜の構造

  • 膜の脂質
  • 膜の流動性
  • 膜の非対称性
  • 脂質分布の不均一性

III.膜のタンパク質

  • タンパク質の膜への埋め込まれ方
  • 膜タンパク質と他のタンパク質との結合のしかた

IV.細胞膜の機能

  • 内外のしきり
  • 情報の伝達

V.膜における物質の輸送

  • 運搬体タンパク質を介した輸送
  • キャリアによる輸送
  • チャンネルによる輸送
  • 膜電位と興奮伝達
  • 細胞の極性と輸送
  • 高分子の輸送

6日目 細胞内の膜トラフィック

I.オルガネラの動態

  • オルガネラは固定的なものではない
  • オルガネラはつくられ補給される
  • タンパク質は2つの場所で合成される

II.タンパク質の折りたたみと品質管理

  • タンパク質の折りたたみ
  • タンパク質の品質管理の必要性

III.小胞によるオルガネラ間の輸送

  • 小胞をつくり各方面へ仕分けして輸送する
  • 小胞を生み出す
  • 小胞の行き先をどう決める
  • 小胞はどう運ばれる

IV.ゴルジ体

  • ゴルジ体の姿
  • ゴルジ体の機能

V.細胞内外との物質のやりとり

  • 細胞外へ分泌されるもの
  • 細胞内外からの取り込みと消化
  • トランスサイトーシス

7日目 化学反応と酵素

I.化学反応を考えてみよう

  • 化学反応をエネルギーから考える
  • 反応はどう進む

II.酵素の働き

  • 酵素は触媒である
  • 酵素反応はかつてRNAが担っていた
  • 吸熱反応を担う酵素
  • 吸熱反応を担う高エネルギー化合物
  • 酵素反応の基本
  • 酵素反応の調節
書評・感想

この教科書を読む皆さんへ

教科書はもちろん知識を得るための手段です.でも得る知識は,たとえ同じ教科書であっても人により,また読み方によりさまざまです.分子生物学の知識は,この本を丹念に読めば得られます.でもそれ以外の知識もこの本から得られますので,これについて少し紹介しましょう.道草話として聞いてください.

すべての人の行為は,縦糸と横糸といえる関係で綴られていると言えます.個々の行為を横糸とすれば,その数々をつないだ人生の縦糸はそれぞれの人の想いであり,意思でありましょう.勉強や研究でも同様です.横糸の知識の量と質は大切ですが,これを綴る想いの縦糸は負けず劣らず大切です.井出先生の教科書は,ともすれば横糸ばかりになりがちの分子生物学の知識を強力な縦糸で綴って見せてくれると言えるでしょう.そしてこの縦糸が面白いのです.それは井出先生のまるごとの生き物に対する強い興味と深い洞察なのです.だからこの本では「なぜ」がやたらと多い.東京のご出身と聞きますが,ご幼少のみぎりの井出先生はあのメガロポリスにあっても蝉やトンボを追っかけていたに違いない.縦糸になる生き物まるごとへの思いが強いからこそ,膨大で多様な知識を網羅してこの教科書を一人でまとめられました.昨今の分子生物学の教科書のすべてが複数の著者で書かれていることからすると,ほんと,信じられないですよね.

井出先生の生き物まるごとに対する興味の背後には,人間に対する興味が見え隠れします.だから随所にヨタ話があります.それにしてもよくも掲載したものだと思わせるきわどいのもありますよね.でもこれらのすべてに井出先生の人間に対する興味と洞察が見えるので,まあ少々の品の悪さは仕方ないですよね.というわけで,井出先生の縦糸は人間まるごとの縦糸でもあります.

今日の分子生物学につながる生物学にはもちろん長い歴史があります.言わずもがなですが,生物学は19世紀にずいぶんと新しい展開があり,20世紀後半になって加速度的に発展しました.この急速な展開には,要素還元主義的手法が大いに力があり,これは今も同じです.でもこの手法の限界も議論されています.例を挙げましょう.演算機能では人間の何億倍・何兆倍の機能を持ち要素還元主義の権化とも言える専用のスーパーコンピューターでもチェスの天才カスパロフに完勝することができません.コンピューターはそれを生み出したわれわれの思考という限界を持っているからです.でも生身の人間は時としてこの限界を突破します.ましてやまるごとの生き物は突破だらけです.19世紀から20世紀前半の生物学は,学問が成熟していなかったこともあって,まるごとの生物学でした.しかもこれはほかの学問領域とも密接に関係を持っておりました.さらに自然科学も超えて,文学や芸術そして宗教とも関係した展開をしておりました.生命科学は技術以上のもののみでなく,情動と知性の間を揺れ動く存在としての人間を考える上で重要な手がかりを与えてくれます.そして今は人間の限界と可能性を深く考えることがこれまで以上に大切な時代になっております.というわけで,井出先生の教科書に見え隠れする人間への洞察,そして「ものの見方」についても十分心して読んでほしい.

最後に細かいことですが,この教科書で面白く語られているいろいろなお話のいささかチャランポランさの背後には,繊細な心使いがこめられてある点も知って下さい.教科書は本来知識を得るためなので,知識を体系化することにより効率よい伝達を図ります.教科書ではありませんが,大学院生など研究の現場に近い人々を対象にする総説雑誌では,解明されている点を強調して書かれてあることが多いようです.体系化や解明された点の強調は,利点もありますが,その一方で読む方はすべてわかってしまっているような気になりかねず,これは困った落とし穴となります.井出先生はこの危険性を十分に心得ておられ,整理された知識に加えて現段階でまだわかっていない点についても繰り返し言及しておられます.この本にたくさんある「なぜ」は井出先生の「なぜ」でありますが,同時に皆さんの「なぜ」でもあります.

書評執筆:丹羽太貫(京都大学放射線生物研究センター教授)

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